巨人・岡本は“フライボール革命”の申し子 メジャーで流行の新打撃理論

[ 2018年4月23日 06:41 ]

セ・リーグ   巨人10―1阪神 ( 2018年4月22日    甲子園 )

<神・巨>5回、バックスクリーンに3号を放つ岡本
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 巨人・岡本和真内野手(21)が22日の阪神戦で3安打4打点を記録し、今季18打点でリーグトップに浮上した。4回に勝ち越し打を放つと、5回には4号3ラン。プロ初の甲子園での本塁打を、思い入れのあるバックスクリーンへぶち込んだ。年間128打点ペースの若き大砲が、チームを今季初、甲子園では16年9月以来の同一カード3連戦3連勝に導いた。

 約30度――。岡本が生まれながらに持つ、アーチスト特有の打球角度だ。それは5年前も同じだった。

 「しっかり捉えられたけど逆風だったので、まさか入るとは」

 4―1の5回無死二、三塁で、高橋遥の直球を打ち返した。逆風をものともせず、打球はバックスクリーンに消える。自身5試合目の甲子園での阪神戦で初アーチ。4号3ランに「バックスクリーンに一度は打ちたいと思っていた」と喜んだ。智弁学園(奈良)3年時の14年センバツでも放ったバックスクリーン弾。木製バットでは初めての感触だった。

 「フライボール革命」で弾道を再現した。今季から「とにかくフライを打つ。スピンをかけて飛ばすように」という意識改革を行い、打席に立っている。昨年メジャーではゴロに比べて飛球が安打になりやすいという新たな打撃理論が流行し、シーズン史上最多6105本塁打が量産された。26度から30度の角度がついた打球は、8割以上の確率で安打になるとも言われる。

 志田宗大スコアラーは「ホームランバッターは母親のおなかから生まれたときから天性の打球角度がある。和真もそう」と話す。昨年までの3年間で本塁打は1本。15年の入団から筋力トレーニングでプロ仕様の体をつくり、春季キャンプは一日1000スイングで血マメをつくった。「(高校時代から)成長してなかったらまずい」と笑う通り、努力で本来の力を開花させた。

 有言実行力も天性のもの。中学時代の橿原磯城シニアでは、昨秋ドラフト1位で入団した鍬原(くわはら)と同僚だった。岡本少年は「ホームラン打ったるわ」と言い、1学年先輩を援護したことがある。あのセンバツは「バックスクリーンへ一発打ちたい」と誓い、第1打席でやってのけた。決勝打を放った前日21日は、聖地を「もっと打ちたいと思える場所」と言った。また現実のものにした。

 1―1の4回は、中前に決勝打。3連戦3連勝に導いた。デーゲーム成績は3本塁打14打点と圧巻。今季18打点のうち13打点が、幼い頃にファンだったという阪神からだ。甲子園の申し子のように思えるが「1軍でそんなに打っていないのでみなさんの間違いです。球場はどこでも、ホームランはうれしい」。打球角度は不変でも、成長曲線は急上昇をたどる。 (神田 佑)

 ▼巨人・高橋監督(活躍の岡本に)風がある中でバックスクリーンに入った。適時打も本当に勝負強かった。レギュラーらしく見えてきた。

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