二刀流・大谷翔平の快進撃。規格外だけではない要因は

[ 2018年4月15日 10:50 ]

<ロイヤルズ・エンゼルス>笑顔でキャッチボールする大谷
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 日本で見慣れていたとはいえ、大谷翔平のスケールの大きさには驚かされる。エンゼルスに移籍した今季。メジャーでも二刀流でプレーしていくためには最初が肝心と思っていたが、そんな懸念を吹き飛ばしてくれた。

 投げては開幕から2試合連続勝利、打ってもヤンキースなどで活躍した松井秀喜に並ぶ日本選手最多の3戦連発。しかも、最もレベルの高いメジャーリーグでこの活躍だ。規格外の存在であることを改めて理解した上で、日本時代とメジャーでの現状を比較した。

 「打者・大谷」

 初めて対戦するメジャーの投手を攻略する対応力。ノーステップ打法が功を奏したわけだが、日本と比べて利点もある。日本の投手は強打者相手にボール球を有効活用し、初球からボールで入るケースも多い。特に早打ちの大谷にはその傾向が強かった。早く追い込めば、なおさらボール球で振らせてくる。

 対照的にメジャーの投手はストライクゾーンで勝負してくる。150キロを軽々と超える球威があり、ツーシームなどで打者の手元で変化させることもできるからだが、メジャーでもトップレベルのスイングスピードの速さがある大谷なら対処できる。顕著なのは2ストライク後の打率だ。現在19打数6安打で・316。日本時代は591打数107安打で・181。大谷本人も「普通、2ストライクからの打率は急激に下がってくる。そこで良い打撃ができているのは凄く良い傾向」と手応えを口にしている。

 「投手・大谷」

完成度の高い「打者・大谷」と比べれば、まだまだ荒削り。制球力は田中(ヤンキース)と比べれば差が大きく、160キロを投げる能力の高さでカバーしている。さらにメジャーの打者は大谷と初対戦で球筋の見極めができておらず、日本の打者よりもボール球に手を出してくれる。それが大きな利点だ。

 特に低めに落ちるスプリットが有効で、大谷本人も「その日の状態とスプリットの状態がポイント」と言っている。今後は対戦を重ねたり、データが集められる。これまで通りにはいかないことも出てくるだろうが、スライダーやカーブなどの他の変化球の精度を上げていけば、的を絞らせずに打ち取れる。

 二刀流について、大谷は「持ちつ持たれつの関係」と言う。「投手・大谷」の調子が悪ければ「打者・大谷」でカバーしようとする。逆もまたしかりだ。投打どちらも調子がいいときは、その相乗効果は計り知れず、今がそうなのかもしれない。以前、日本ハムの栗山監督が「翔平は相手が強ければ強いほど燃える」と評したように、メジャーというハイレベルのリーグへの移籍も二刀流の進化を助長させている。(野球コラム・飯塚 荒太)

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2018年4月15日のニュース