菅野「みんなで勝ち取った」橙魂1勝 シンカー封印も習得で得たフォークの精度

[ 2018年4月14日 09:10 ]

セ・リーグ   巨人10―2広島 ( 2018年4月13日    東京D )

<巨・広>アフロをかぶったファンのいるスタンドをバックに投げる菅野
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 巨人のエース菅野智之投手(28)がようやく本領を発揮した。チーム6連敗の中で迎えた13日の広島戦。開幕戦から2つ黒星が続いていた右腕が8回1失点、10奪三振と力投し、自身とチームの連敗を止める1勝目を挙げた。打線も3本塁打などで10得点を挙げ、投打の歯車ががっちりかみ合った。

 トンネルを抜けると、一面オレンジ色の大観衆が待っていた。今季初の「橙魂(とうこん)デー」。菅野は、配布された球団カラーのアフロをかぶって応援を続けたファンにお立ち台で打ち明けた。

 「長い野球人生の中で、必ずこういう時は来ると思っていた。自分の力で打開しようと。強く思ってマウンドに立った」

 苦境の中で進化を見せた。6回、連打で無死一、三塁。7点差はあった。それでも「点を取られて良いわけない。斎藤(投手総合)コーチにも、点差は関係ないと言われてた」。松山をフォークで空振り三振。スライダーで決めた安部を挟み、西川もフォークで3者連続空振り三振に斬った。昨季まで完全に習得していなかったフォークを多投した。

 オフのハワイ自主トレでシンカー習得に着手。開幕まで精度向上に時間を割いた。それでもこの日は「一球もシンカーを投げていない」と明かす。代わりに、シンカーを覚える過程で抜き方をつかんだフォークを操った。「シンカーを投げなかったら出なかった感覚。遠回りしたけど今のフォークの精度につながった」。苦しんで、考えて、新たな武器で道を切り開いた。

 自身初の開幕2連敗。「落ち込むのは誰でもできる」と前を向いた。9日から4日連続で、外野に捕手を座らせ、傾斜のないところで投げ込む調整も取り入れた。「シンカーを覚えたことで、良くないという声もあった。でも間違いだとは思わない」。周囲の雑音をかき消す好投だった。

 「絶好調ではない」と認める。初回には先制点を与えたが、それでも耐えた。「彼が勝たないことには、ね」と斎藤コーチ。5回には自ら二塁打でダメ押しの口火を切った。「みんなでつないで、みんなで勝ち取った。忘れることのできない1勝になった」と余韻に浸ったのは一瞬。「次は最後まで投げたい」と誓った。 (池田 翔太郎)

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