極寒マイナス3度…イチロー熱闘マルチ「野球やる気候ではないわね」

[ 2018年4月9日 05:30 ]

ア・リーグ   マリナーズ11―4ツインズ ( 2018年4月7日    ミネアポリス )

<ツインズ・マリナーズ>7回、中前打を放つイチロー(AP)
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 マリナーズのイチロー外野手(44)が7日(日本時間8日)、ツインズ戦に「8番・左翼」で出場し、2試合連続安打で今季2度目のマルチ安打を記録した。敵地ターゲット・フィールドが10年に開場してから、史上最低気温のマイナス3度で開始となったが5回に左前打、7回にも中前打をマーク。メジャー最年長野手が極寒の中でホットな活躍を見せた。

 吐く息は白かった。今季2度目、通算908回目のマルチ安打を記録したイチローは「風吹かなきゃいいんだけど、風もあるからね。体感気温は相当低い。マイナス9度ですか。いや〜、野球をやる気候ではないわね」とあきれ顔を浮かべた。

 試合開始時のマイナス3度は、大リーグ公式サイトによればツインズ、マリナーズの両軍にとって最低記録。偶然にもこの日の日本最北端の北海道・稚内、北極点と同じだ。史上最低気温は13年4月のロッキーズ―ブレーブス戦でマイナス5度。これに迫る極寒で、イチローは黒タイツ、ウール地の厚手ストッキングで普段と違う防寒対策を施した。その一方でプレースタイルは変わらなかった。

 「プロレスラーみたいな人がサードにいますからね。そりゃ考えるでしょう」

 3回だ。先頭で初球をセーフティーバント。体重117キロの巨漢三塁手・サノの前に転がした。先発ベリオスの好フィールディングで惜しくもアウトになったが、いつも通りの全力疾走を見せた。

 5回は91マイル(約146キロ)の外角ツーシームを左前打。打線はここから3連打でリードを5点に広げた。7回は93マイル(約150キロ)の直球を中前に落とした。「(バットの)先よりは詰まった方がいい」と手のしびれまでを計算し尽くしていた。

 異常寒波の影響で、試合前の打撃練習はキャンセル。両軍とも5回まで救援陣は左中間にあるブルペンでなく、ベンチ裏で準備した。8日(日本時間9日)の天気予報も降雪。過酷な一戦を制した44歳は、ダウンジャケットを着込んで早々に球場を後にした。(ミネアポリス・笹田 幸嗣通信員)

 ▽ミネアポリスの気候 ミネソタ州はアラスカ州を除くと米国内で最北に位置し、同州最大の都市ミネアポリスも冬の寒さが厳しい。中心部には寒さや雪を避けるため、ビル間の2階をつなぐ「スカイウエー」と呼ばれる屋内通路網が充実している。82〜09年にツインズが本拠としていたメトロドームは降雪のため屋根が破損し、大リーグやNFLの試合が中止になったことがある。4月の平均気温は8・6度。

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