大谷の衝撃本拠デビュー弾を検証 投手心理を読み、メジャー新打法が機能

[ 2018年4月5日 08:00 ]

ア・リーグ   エンゼルス13―2インディアンス ( 2018年4月3日    アナハイム )

<エンゼルス・インディアンス>初回2死二、三塁、右中間へ3ランを放つ大谷
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 衝撃的な本拠地デビューだ。エンゼルスの大谷翔平投手(23)がインディアンス戦に「8番・DH」で出場し、初回に1号3ランを放った。本拠・エンゼルスタジアムでの初試合初打席でメジャー初本塁打。初マルチとなる3安打で、打点も初となった。球団によると、勝利投手になり、次の出場試合で打者として先発し、本塁打を放つのは1921年のベーブ・ルース以来97年ぶりの偉業となった。

 記念すべきメジャー初アーチを放った後、待っていたのは「メジャーの洗礼」だった。ベンチに戻った大谷は誰からも見向きもされず、両手を広げてアピールする。無視が続き、たまらずキンズラーに抱きつくと、ナインが一斉に集結。手荒い祝福に最高の笑顔だ。

 「何かよく分からなかった。ちょっとたって気付いた。うれしかった」。選手を祝福する「サイレント・トリートメント」と呼ばれる儀式で、主砲のトラウトとプホルスの発案。スタンディングオベーションにはヘルメットを掲げて応え「最高でした」と喜んだ。

 同点の初回、第1打席だった。2死満塁から暴投で勝ち越した直後、2年連続2桁勝利を挙げている右腕トムリンから3ランを右中間に叩き込んだ。2―2から6球目のカーブ。3球目に空振りしたが、暴投になっていた球種だ。「ワイルドピッチで点も入って楽になった。そのおかげでカーブがちょっと浮いてくれたのかなと思う」。投手心理を読み切った、二刀流の大谷ならではの一撃だった。

 開幕前の実戦では打率・179。62打席で本塁打はなかった。それでも開幕直前にノーステップ打法に切り替え、開幕戦で初打席初安打を放った。「長く球を見られている」と新打法の利点を生かした一発。3回に右前打を放つと、8回にも強烈な打球を中前に運んだ。動作解析システム「スタットキャスト」では時速113マイル(約182キロ)。今季トップの117マイル(約188キロ)のスタントン(ヤンキース)に匹敵する打球速度だった。

 初勝利を挙げた翌日。打者で出場機会はなかったがベンチで打撃の構えをし、タイミングを取り始めた。「打席に立たなくてもできること」。二刀流の調整に追われる中、わずかな時間を無駄にしない姿勢に初回にアベックアーチを放ったトラウトも「100マイル(約161キロ)を投げ、打撃では信じられない打球を飛ばす。その上、努力家」と称賛した。

 1918年のベーブ・ルース以来100年ぶりの2桁勝利&2桁本塁打に向け、最高のスタートを切った二刀流。試合後のインタビュー中にはカルフーンに氷水をかけられ「やられたけど、凄いうれしかった」と笑った。4日(日本時間午前5時7分開始)のイ軍戦もDHで出場予定。14、17年のサイ・ヤング賞右腕クルバーを相手に真価を発揮する。(アナハイム・柳原 直之)

 《ルース以来97年ぶり》大谷は1日に初登板初勝利を挙げた。勝利した選手が、その次の試合に野手として先発出場し本塁打したのは、1921年6月13、14日のベーブ・ルース(ヤンキース)以来、97年ぶりとなった。

 また開幕6戦目以内に、投手として1勝し、3安打以上した新人は、1924年のダッチ・ストライカー(ブレーブス)以来、94年ぶり。新人を除けば、開幕6戦目以内に1勝して4安打したのは、1937年のウェス・フェレル(レッドソックス)以来、81年ぶりとなった。

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