ブレない智弁和歌山・高嶋監督の負けじ魂 還暦過ぎた記者も頭が下がる

[ 2018年4月5日 12:00 ]

厳しい表情で試合を見つめる智弁学園・高嶋監督
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 記念大会となった第90回選抜高校野球大会は、大阪桐蔭が“阪和決戦”となった智弁和歌山を下し、史上3校目となる春連覇で幕を閉じた。

 還暦を過ぎた記者にとって年上の監督が少なくなる中、智弁和歌山の高嶋仁監督(71)の負けじ魂には頭が下がった。48歳の西谷浩一監督に「うちと対戦するまで負けるなよ」という言葉を掛けられるのは高嶋さんくらい。組み合わせから、大阪桐蔭と対戦するには決勝戦しかなく、必ず決勝に行くから待ってろ!との意思表示はすさまじい執念すら感じさせた。

 この両校に明徳義塾が甲子園に出場すると、決まって抽選日の夜に高嶋、馬淵史郎(62)、西谷の3監督が集まる。決勝前夜(3日)取材で高嶋監督は「夜の部では(西谷に)圧勝するのに、昼(試合)は勝てんなあ」とジョークを交えて話した。昨年春の近畿大会、同夏の甲子園、同秋の近畿大会とことごとく大阪桐蔭に敗れた。そして迎えたセンバツ。先制しながら逆転を許し、またしても勝利とはいかなかった。

 試合後のインタビューでアナウンサーから「選手はよくやったんじゃないですか?」と問われ「きょうから夏が始まってます。褒めるのは夏が終わってからです」と話した。悔しさがにじみ出たコメントだった。

 決勝の解説で甲子園を訪れていた渡辺元智前横浜監督(73)は「高嶋さんの執念というか精神力はすさまじいね」と改めて感心した。そして「高嶋さんの野球はブレないし一貫してしている。今は手を出したりできないけど、その分精神力を鍛え、選手が監督を信じてついてきているんだろう」と分析した。

 自身は横浜で春夏合わせ5度の全国制覇。しかし道のりは厳しかった。「若い頃は神奈川には東海大相模に原貢さんがいてね。勝てなかった。選手全員に“相模を倒すぞ”と叫ばしてから試合に行ったりした。甲子園に出るようになると今度はPL学園という強敵がいた。高嶋さんの精神力じゃないけれど松坂(中日)にも座禅を組ませたり精神面強化をしたもんです」と振り返り、今の大阪桐蔭が最強を誇ったPL学園の存在だという。

 攻守にスキがなく、選手個々のレベルが高い。西谷監督は6度目の全国制覇となり有望な新入生も集まってくる。「このままだと西谷君の優勝回数が何回までいくかわからないね」と渡辺さん。だからこそ高嶋監督の執念が必要だという。「根性なんていっている時代ではないけれど、大阪桐蔭に向かっていくには精神力がどれだけ強いかがカギになる」。

 夏の選手権は100回を迎える。大阪桐蔭の天下が続くのか、倒すチームが出てくるのか。ただ言えるのは高嶋さんの存在が高校野球を一段と熱くしてくれたことだけは間違いない。(落合 紳哉)

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