大阪桐蔭・根尾 先輩や同学年からもさん付けで呼ばれる理由

[ 2018年4月5日 09:08 ]

第90回選抜高校野球大会最終日・決勝   大阪桐蔭5―2智弁和歌山 ( 2018年4月4日    甲子園 )

<大阪桐蔭・智弁和歌山>優勝のウイニングボールを捕った左腕を誇らし気に突き上げる大阪桐蔭・根尾。左は最後の打者・智弁和歌山の根来
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 決勝が行われ、大阪桐蔭が智弁和歌山に5―2で逆転勝ちし、2年連続3度目の優勝を果たした。センバツ連覇は36年ぶり、史上3校目。甲子園決勝は春夏合わせて7戦全勝となった。背番号6の根尾昂内野手(3年)が先発登板し、6安打2失点完投とダメ押し打の活躍。エンゼルス・大谷ばりの投打二刀流の今秋ドラフト1位候補が、実力を見せつけた。

 あふれるオーラに、ウイニングボールまで吸い寄せられた。9回2死一塁、根尾が投じた140球目。帽子を振り飛ばしたこん身の137キロ直球で一ゴロに仕留め、一塁のカバーへ走る。トスされたボールが収まったグラブを、そのまま空に向かって突き上げた。

 マウンド上の歓喜の輪に入るのは遅れた。帽子を拾ってくれた智弁和歌山の選手に先に感謝に行くのが根尾の性格。「マウンドから優勝の景色を見ることができませんでした」と屈託なく笑った。

 履正社との大阪対決だった昨春に続く「胴上げ投手」。2年連続は、春連覇校で史上初の快挙だ。2試合、計3イニングの登板にすぎなかった昨年から、二刀流はグンと磨きがかかった。8回99球を投げた準決勝・三重戦の好救援に続く、自身初の連投。最速145キロで、4回に2点を先制されても粘った。8回には5点目を挙げる左前適時打を放ち、5番打者として今大会は打率5割。聖地の申し子とも言える輝きだった。

 明秀学園日立との3回戦で2回に右手中指のマメをつぶした。力を抑えながらマークしたのが今大会最速タイの147キロ。野球に取り組む姿勢から、先輩や同学年からも「根尾さん」と呼ばれる。投手陣を預かる石田寿也コーチは「もう根尾さんじゃなく、根尾様ですね」と口にした。

 自慢は腹筋。「シックスパックです」と豪語し、同僚・藤原も「バッキバキに割れている」と驚くほどだ。本業は遊撃手で、投球練習は週に1、2回と少ない。「だからこそ一球一球に意図を持つ」。意識の高さと体幹の強さが、高次元での二刀流を可能にする。

 「てっぺんを獲れるよう、明日から夏の山を登って、今度こそ春夏連覇を」。12年に達成した偉業。2度やったチームはまだない。“ミレニアム世代”の旗手が、前人未到の快挙へ導く。 (吉仲 博幸)

 《夏連覇は6校》大阪桐蔭が1929、30年の第一神港商と81、82年のPL学園に続くセンバツ連覇を達成した。優勝決定時の投手が2年とも同じだったのは史上初。夏は6校ある連覇校のうち31〜33年の中京商(愛知=現中京大中京)は吉田正男が3年とも、47、48年の小倉(福岡)は福嶋一雄が2年とも胴上げ投手となっている。

 《根尾 昂(ねお・あきら)》

 ☆生まれとサイズ 2000年(平12)4月19日生まれ、岐阜県出身の17歳。1メートル77、78キロ。右投げ左打ち。

 ☆球歴 小2から古川西クラブで野球を始め、古川中時代は飛騨高山ボーイズに所属。大阪桐蔭では1年夏からベンチ入り。

 ☆他競技 中2の時、全国中学校スキー大会の回転で優勝。同年イタリアで開催された国際大会にも出場した。

 ☆趣味 読書、音楽鑑賞。

 ☆好きな野球選手 イチロー(マリナーズ)

 ☆好きな言葉 「継続は力なり」

 ☆好きな食べ物 白米。

 ☆家族構成 両親と姉、兄。

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