打率・000でも…ヤクルト・山田“足”に感じた復活の可能性

[ 2018年4月1日 10:30 ]

30日のDeNA戦の初回無死一塁、盗塁を決める山田哲(左)
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 ただの「1盗塁」ではない。ヤクルト・山田哲人の足にはそれだけの価値がある。

 3月30日、横浜スタジアムで行われたDeNAとの開幕戦。3年ぶりに1番打者としてのシーズンを迎えた山田は初回、最初の打席に入った。遊撃への平凡な打球だったが、大和がファンブル。出塁するといきなり仕掛けた。続く山崎への初球。左投手の石田から抜群のスタートを切り、すかさず二塁を陥れた。その後2死満塁となり、坂口の適時二塁打で今季チーム初得点のホームを踏んだ。プレーボールからわずか数分。安打はなくても、確かにチームに流れを引き寄せた。

 「勢いをつくれたかなと思う。得点にも絡めたし、走塁の部分は100点満点のゲームでした」。試合後、そう言ってうなずいた山田。初回、出塁したら初球にスタートを切ることを、決めていた。

 3年前と同じだった。真中満新監督のもと挑んだ、15年の開幕戦。マツダスタジアムで、山田は1番打者として試合開始直後の打席に立った。前田健太(現ドジャース)から安打を放つと、「走ると決めていました」と続く川端の初球に二盗に成功。先制の足掛かりをつくった。初陣で1勝を挙げ、秋には14年ぶりの歓喜が待っていた。その中心に、3割30本30盗塁の「トリプルスリー」を達成した山田がいた。全ての始まりは、果敢に攻めた開幕戦の走塁だった。

 今季初戦は5打数無安打に終わったが、チームの開幕戦勝利を呼び込んだ走塁に、河田外野守備走塁コーチは「山田のおかげ。あれでいい攻撃ができました」と褒めた。翌31日も1点を追う3回に四球で出塁し、二盗に成功。逆転の足掛かりをつくった。

 不本意な成績に終わった昨季の雪辱を誓って挑む、8年目のシーズンが幕を開けた。「走塁が試合の流れを変える」と口にしている通りに2連勝を呼び込んだ。2試合を終えて打率・000。それでも、山田哲人復活の可能性を大いに感じさせた。(記者コラム・町田 利衣)

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2018年4月1日のニュース