日本航空石川・原田 逆転劇弾 広告見てリラックス「阿部さんが笑っている」

[ 2018年3月31日 05:30 ]

第90回選抜高校野球大会第8日・3回戦   日本航空石川3―1明徳義塾 ( 2018年3月30日    甲子園 )

<日本航空石川・明徳義塾>9回無死一、二塁、日本航空石川・原田は左越えに逆転サヨナラ3ランを放ち、ガッツポーズ
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 初出場の日本航空石川が明徳義塾(高知)に逆転サヨナラ勝ちし、8強入りを決めた。1点を追う9回に原田竜聖外野手(3年)が左越え3ラン。逆転サヨナラ3ランで初戦突破した昨秋の明治神宮大会王者を、劇的に破った。創成館(長崎)は今大会初の延長戦で10回に松山隆一外野手(3年)がサヨナラ本塁打。智弁和歌山は7年ぶりに準々決勝へ進んだ。

 明徳義塾の左翼手・谷合が追って、フェンスに張り付いて、見送った。中央学院戦の逆転サヨナラ3ランの印象がまだ濃い相手主砲を飛び越え、スタンドに消えた原田の打球。日本航空石川の3番打者は、本塁付近で待つ仲間の元へ満面の笑みで飛び込んだ。

 「球種は絞っていなかった。とにかく初球を打とうと思った」

 0―1の9回無死一、二塁。相手がマウンドで円陣を組む間も、虎視眈々(たんたん)と狙っていた。6回の前打席で4球続き、中飛に打ち取られたスライダーを強振。大会屈指の好投手・市川を打ち砕いた。

 打席に入る前に中村隆監督から「バントするか?」と打診され、迷いなく「打ちます」と答えた。「後ろに上田もいるし、つなげば何とかなる」。想定を上回った初体験のサヨナラ本塁打に「最高です」と繰り返した。

 平静を保つため、打席に入る前に外野の広告看板を眺めるルーティンを昨夏からコーチの助言で取り入れた。甲子園では左翼最上段にある金融会社を選択。俳優・阿部寛の写真を視界に入れ、「阿部さんが笑っている」と肩の力を抜いた。ちょうど“眼下”の位置へと打ち込み、「これからファンになります。応援します」と興奮を隠せなかった。

 初戦の翌日、谷合の劇的な一発を観客席からチーム全員で見た。「鳥肌が立った」という出来事を、自ら再現してみせた。初出場で春夏通じて初めてのベスト8。中村監督が「今年はこれしかない」と言い切る打力自慢の昨秋北信越王者が、地区V校がそろった厳しいブロックを突き進む。 (桜井 克也)

 ≪1日2本のサヨナラ弾は春夏通じて初≫第1試合で日本航空石川・原田が9回に、第3試合では創成館・松山が延長10回にサヨナラ本塁打。1日に2試合以上のサヨナラ試合は16年春の準々決勝(龍谷大平安―明石商、秀岳館―木更津総合)以来2年ぶりで、1日2本のサヨナラ弾は春夏通じて初めてだ。今大会は明徳義塾・谷合も2回戦の中央学院戦で逆転サヨナラ弾。1大会3本のサヨナラ本塁打、1大会2本の逆転サヨナラ本塁打も春夏を通じ初となった。

 ◆原田 竜聖(はらだ・りゅうせい)2000年(平12)8月2日生まれ、石川県出身の17歳。小2から野球を始め、高岡中時代は白山能美ボーイズでプレー。日本航空石川進学後は2年春からベンチ入り。1メートル78、78キロ。右投げ右打ち。

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