静岡・春 35年ぶり三振なし完封 84球省エネ「気づいたら終わっていた」

[ 2018年3月25日 05:30 ]

第90回選抜高校野球大会第2日・2回戦   静岡7―0駒大苫小牧 ( 2018年3月24日    甲子園 )

<静岡・駒大苫小牧>完封勝利を飾り、ガッツポーズをする静岡・春
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 1回戦1試合、2回戦2試合が行われた。静岡はエース春翔一朗投手(3年)が駒大苫小牧(北海道)を4安打に抑え、今大会完封一番乗り。センバツでは35年ぶりの三振ゼロでの完封勝利だった。日大三(東京)は日置航主将(3年)が4回に大会1号となる左越えソロを放つなど、由利工(秋田)を下した。21世紀枠で出場の膳所(ぜぜ=滋賀)は日本航空石川に0―10で敗れた。

 陽光に包まれた甲子園。春がわずか84球で散発4安打に抑え、今大会完封一番乗りだ。04、05年夏に優勝経験のある駒大苫小牧との地区大会王者対決を制し、笑顔も満開だ。

 「ちょっと出来過ぎ。アウトの半分以上が内野ゴロで、自分の投球ができた。気づいたら終わっていました」

 初回に頭部死球など2死球を与え1死一、二塁のピンチを招いたが、二ゴロ併殺で切り抜けた。この日最速は134キロながら、カーブ、スライダー、チェンジアップ、フォークと多彩な変化球を低めに集め3併殺を奪い、15個の内野ゴロで三塁を踏ませなかった。0奪三振の完封勝利は83年にY校旋風を起こした三浦将明(横浜商)以来、35年ぶり3人目だ。84球の省エネ完封もセンバツでは史上3位タイの少ない球数だった。

 「三振を取りたいとは思わない。絶対に取りたい場面では狙うがゴロを打たせて、野手の足を動かした方がいい」と語る。昨春センバツでは背番号18で、救援で2回を2失点。成長した右腕に栗林俊輔監督も「名前の通り、春先に強い。もっと夏に強くなってほしいんですけど…」と笑いながら話した。前夜の「イメトレ」も効いた。全国有数の実力を持つ駒大苫小牧の吹奏楽部が奏でる応援を「You Tube」でチェック。「(音楽に)乗りながら投げるイメージはついていた」と相手の声援を力に変えた。

 日大三の井上や、明徳義塾の市川、大阪桐蔭の根尾ら本格派を自身とは別の存在と位置づける。「大事なのは力のなさを自覚すること。速球を投げられない人も全国にいる。そういう投手に夢を与えたい」。1メートル70の軟投派エースは名前の通り、春を翔(かけ)る。 (原田 真奈子)

 《35年ぶり》静岡・春が奪三振0で完封。センバツで奪三振0の完投完封は83年準々決勝の駒大岩見沢戦で横浜商・三浦が記録して以来35年ぶり、センバツで初めて金属バットが導入された75年以降では3人目だ。また、84球での9回完封勝利は75年以降では、13年いわき海星戦での遠軽・前田に並ぶ3位タイの省エネ投球となった。

 ☆83年春のY校(横浜商)旋風 広島商との1回戦で完投勝利をマークした三浦は、2回戦の星稜戦では完封勝利。続く準々決勝の駒大岩見沢戦は奪三振0ながら3安打無四死球完封。投球数は88球で試合時間はわずか1時間33分だった。準決勝でも東海大一を完封し3試合連続完封をマークした三浦だったが、決勝では水野(元巨人)擁する前年夏の王者・池田に0―3で敗れた。

 《春 翔一郎(はる・しょういちろう)》

 ☆生まれとサイズ 2000年(平12)4月29日、静岡県浜松市生まれの17歳。1メートル70、70キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 気賀小3年から細江野球SSで野球を始め、小4から浜松エンジェルスで投手兼三塁手。中郡中では軟式野球部に所属し投手兼三塁手。静岡高では2年春のセンバツからベンチ入り。昨秋東海大会から背番号1。

 ☆50メートル走 6秒5 ☆趣味 映画観賞

 ☆珍名字 リクルーティングスタジオ社運営の「名字由来net」によると「春」は全国におよそ530人しかいない珍しい名字。本人も「先祖に感謝です」。

 ☆好きな言葉 「一意専心」

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