JR西日本・加賀美、元DeNAの29歳右腕が咲かせる“もうひと花”

[ 2018年3月21日 10:30 ]

東京スポニチ大会で力投するJR西日本・加賀美
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 まだ俺はやれる――。そんな思いが伝わってくるような力投だった。元DeNAで加入3年目のJR西日本・加賀美希昇(かがみ・きしょう)投手が、12日のJABA東京スポニチ大会・王子戦で7回を6安打1失点。3回に先制を許したものの、最速142キロの直球にカーブ、フォークを交えて粘投した。チームは延長10回タイブレークの末、2―1でサヨナラ勝ちを飾った。

 「自分はきれいに抑えるタイプではない。しっかり初球から腕を振って投げていくことを意識した。無四球で粘れたと思います」

 斎藤佑樹(日本ハム)と同世代の88年生まれ。斎藤が早大で東京六大学リーグを席巻していた07〜10年、加賀美は法大のエースとしてリーグ通算16勝を挙げた。10年ドラフト2位で横浜(現DeNA)に入団したが、プロ5年間で通算24試合5勝10敗と伸び悩んだ。15年限りで戦力外となり、12球団合同トライアウトを受験。そこでJR西日本関係者の目に留まり、16年から入社した。家族を東京に残し、単身赴任で広島へ。同年秋の日本選手権、JR東日本東北戦で大会史上2人目となるノーヒットノーランを達成し、“復活”を印象づけた。

 法大時代は最速153キロの速球に、90キロ台のカーブを織り交ぜて打者をほんろう。緩急を駆使する投球スタイルは現在も変わらないが、プロ時代に比べて「カーブや遅い球でも自信を持って投げられる」と言う。今年9月で30歳になる右腕は投手、野手を含めてチーム最年長。「年下の選手が多いので、伝えられるものはアドバイスしている」と自覚も芽生えた。

 8強進出した昨年の都市対抗は2試合に先発も防御率7・71と不調。日本選手権も初戦で先発したが7回途中3失点で敗戦投手となり、ともに満足のいく結果を残せなかった。「去年はチームにあまり貢献できなかった。今年はケガなくチームに貢献して、戦力になれるようにしたい」。入社から2年半、単身赴任が続いたが、5、6月頃には妻子も広島に移り住む予定。心強い後押しを得て、もうひと花咲かせる。(記者コラム・原田 真奈子)

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2018年3月21日のニュース