巨人・ゲレーロ 期待の大砲は重量打線復活のキーマンに

[ 2018年3月20日 09:00 ]

2年目のジンクスを吹き飛ばす?好調なゲレーロ
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 【宮入徹の記録の風景】打線の厚みは確実に増しそうだ。昨年中日に在籍したアレックス・ゲレーロ外野手(31)が今季は巨人でプレーする。昨年は来日1年目ながら35本塁打を放ち、本塁打王を獲得した。オープン戦ではここまで単独1位の5本塁打をマーク。2年目のジンクスを吹き飛ばす成績を残している。過去に本塁打王を手にし、その後巨人に移籍した選手は11人いる。その中で移籍1年目に本塁打王は04年に近鉄から移籍したローズ(45本)だけ。ゲレーロが2人目になるか注目される。

 もっとも、本塁打王に届かなくても長距離砲の存在感を示した打者は少なくない。ローズの他に本塁打王経験者で巨人移籍年に30本塁打以上を記録したのは00年江藤智32本(リーグ3位)、03年ペタジーニ34本(4位)、04年小久保裕紀41本(4位)、07年小笠原道大31本(6位)、08年ラミレス45本(2位)と5人。10本未満は69年に0本に終わった桑田武しかいない。やはり実績を持つ打者は期待を大きく裏切ることはないようだ。

 オープン戦でのゲレーロの打撃内容で気づくのは早いカウントでの強さ。3球目までの成績は17打数6安打(打率・353)、4本塁打、6打点。4球目以降だと10打数2安打(打率・200)、1本塁打、1打点と差がつく。中日時代の昨年も3球目までは245打数76安打(打率・310)、24本塁打、59打点。それが、4球目以降では224打数55安打(打率・246)、11本塁打、27打点と苦戦した。速攻勝負で仕留める技術に加え、粘った場面でどう数字を伸ばせるかがカギになる。

 今季はゲレーロの後の打順には巨人移籍2年目のマギーが座りそう。昨年のマギーはセ・リーグ新記録のシーズン48二塁打。勝負強い中距離打者として打線を引っ張った。本塁打は18本止まりだったが、巨人では長野の16本を抑え最多と一発でもチームに貢献した。今季は坂本勇の起用法次第で3番ゲレーロ、4番マギーか、4番ゲレーロ、5番マギーのどちらかに落ち着くだろう。昨年の巨人はマギーの他に外国人野手ではクルーズが1軍公式戦に出場した。ただ、2人が同じ試合に先発出場したのはわずか9試合。打順が連続したケースは一度もなかった。

 マギーはご存じのように13年に1年間楽天でプレー。打率・292、28本塁打、93打点と気を吐き、チーム初の日本一に貢献した。この年は5番での先発出場が127試合。143試合に4番で先発したジョーンズと強力コンビを形成した。ジョーンズが安打した直後のマギーは83打数30安打、打率・361、7本塁打、30打点と大暴れ。今季はゲレーロの加入に刺激を受け5年前の再現を狙いたい。

 ところで巨人の外国人コンビによるシーズン最多本塁打は04年の74本。本数の内訳はローズ45本、ペタジーニ29本となっており、外国人2人が30発以上は球団創設以来1度もない。昨年巨人のチーム本塁打はリーグ4位タイの113本で最多の広島(152本)とは39本差。巨人がチーム本塁打リーグ1位になったのは13年の145本が最後と鳴りを潜めている。今季はGM砲を軸に重量打線へ変貌を遂げたいところだ。(敬称略、専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。本社制定の最優秀バッテリー賞の選考委員会には、第1回から27回連続で資料説明役として出席。

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