Honda 熊本と“同門”決勝制した 負けたら“Honda埼玉”免れた

[ 2018年3月15日 05:30 ]

第73回JABA東京スポニチ大会最終日・決勝   Honda4―3Honda熊本 ( 2018年3月14日    神宮 )

<Honda・Honda熊本>優勝し岡野監督を胴上げするHondaナイン
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 準決勝と決勝が14日に行われ、昨年準優勝のHondaが5年ぶり2度目の優勝を果たした。Honda熊本との「Honda対決」となった決勝では、8回に山本兼三内野手(23)が決勝の左越え代打逆転2ランを放ち、最高殊勲選手賞を獲得。チームは今秋の日本選手権大会出場権を獲得した。

 おいしすぎる場面を逃さなかった。1点を追う8回2死三塁。代打の山本兼は、カウント2―2からの高め直球を完璧に捉えた。薄暮の空に舞い上がった打球は左翼席へ。その行方は見失っていたが、ベンチが一気に沸き上がり、理解した。

 「ウワーッとなって審判が手を回したので本塁打だなと。本塁打は公式戦で初めて。代打では打ったことない」

 Honda熊本のエース荒西の前に、7回まで5安打2得点に抑えられた。8回に相手投手が左腕・島袋に代わり、岡野勝俊監督は策を打った。ズバリ的中し「左投手が出てきた時点で(代打を)決めていた。まさかあそこで(本塁打が)出るとは。何か持っている選手」と喜んだ。

 昨季から岡野監督とともに、96年アトランタ五輪銀メダルメンバーで「ミスター社会人」と呼ばれた西郷泰之ヘッドコーチが就任。「長打の打てるチーム」づくりに着手した。西郷コーチは「下半身を使って強く振るということをやってきた」。2日に1回のウエートトレーニング、一日1000スイングの振り込みなどで鍛え、2年目の山本兼は1年間で体重が5キロ増の87キロ、スクワットの数値は10キロアップの120キロに。「西郷さんからも監督からも準備が大切だと言われている」とベンチ裏で左投手の球の軌道をイメージしてから打席に入った。チームは今大会5試合で6本塁打。最後も一発で試合を決め、描くチームは完成しつつある。

 決勝では大会史上初の「Honda対決」。Hondaの岡野監督は関係者から「負けたら“Honda埼玉”に変えて、熊本の方をHondaにするぞ」と冗談を言われ「凄いプレッシャーがありました」と笑顔。準優勝だった昨年の雪辱を果たし、試合後のベンチ裏からも笑い声が絶えなかった。 (渡辺 剛太)

 ◆山本 兼三(やまもと・けんぞう)1994年(平6)4月8日生まれ、札幌市出身の23歳。中学時代は「新琴似シニア」でプレーし、日本航空石川を経て上武大に進学。1年時に全日本大学選手権優勝。3年春の関甲新学生野球リーグ戦でMVPを獲得し、昨年Honda入り。1メートル77、87キロ。右投げ右打ち。

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