【石井一久 クロスファイア】DeNAの左4人ローテ“共通言語”が相乗効果生む

[ 2018年3月14日 11:05 ]

DeNA・今永
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 DeNAの先発ローテーションに左投手が4人並ぶかもしれない。昨季2桁勝利をマークした今永と浜口、昨季の開幕投手・石田に加え、ドラフト1位で入団した東もオープン戦で結果を出しており、評価が高い。過去の歴史を見ても、左投手の同一シーズン2桁勝利は3人が最多で、03年の阪神(井川、下柳、ムーア)が最後だという。

 一部では「左腕が多すぎるのもどうか」という声もあると聞く。確かに、ローテーションを組む時は右と左をバランスよく配するのが一般的で、3連戦なら左左と続くと、打者に前日の軌道がイメージとして残るので、間に右を挟んでジグザグにすることはよくある。しかし、僕は「左4人」がバランスが悪いとは全く思わない。それは右投手が4人いるのと何ら違いはない。

 今年のキャンプで、今永に話を聞いた時、「同じ左投手だと、共通の感覚で会話することができる」と言っていた。言葉で説明するのは難しいが、例えば、右投手と左投手がスライダーを同じ握りと同じ投げ方で投げても、感覚は違うし、考え方も違う。今永の投球を見て、翌日先発する石田や浜口や東が参考にし、左投手ならではの感覚で情報交換する。彼らは同世代でもあり、左投手の「共通言語」はむしろ相乗効果を生むと思う。

 そもそも、「左投手は右打者を苦手とする」という考え方は全員に当てはまるわけではない。右打者を苦にしない3つの条件を兼ね備えていれば、右の方が簡単にアウトを取れる。第1条件は、内角に質の高い真っすぐを投げられること。2つ目は、膝下に曲げるスライダー系の変化球があること。そして3つ目は、外角に落とすチェンジアップ系の球種があること。DeNAの4人の左腕はみんな力強い真っすぐがあり、鋭い変化球も持っているので、相手が右打線を組んでこようがあまり関係ないと思う。

 プロ野球史上初の2桁左腕カルテットは誕生するか。正真正銘の「左腕王国」となれば、おのずとDeNAの優勝も近づくのではないか。 (本紙評論家)

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2018年3月14日のニュース