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原辰徳氏、高校野球に「DH制」提言 激闘を回想「甲子園は最高の舞台」

第47回選抜大会決勝   東海大相模5―10高知 ( 1975年4月6日    甲子園 )

高校時代の写真を手に笑顔を見せる原辰徳氏
Photo By スポニチ

 【センバツ群像今ありて〜第1章〜(8)】 東海大相模(神奈川)の原辰徳内野手(前巨人監督)は甲子園新時代に現れたスターだった。金属バットが初採用された1974年夏に1年生でデビュー。翌75年の第47回選抜大会は決勝で杉村繁内野手(現ヤクルト巡回コーチ)の高知(高知)と激戦を繰り広げた。4度の聖地で最高の準優勝となった春の記憶、そして次の時代に向かう高校野球への思いを聞いた。 (和田 裕司)

 ◆豪快弾「最高の当たり」

 「全然…」。実況アナウンサーが黙った。ラッキーゾーンを軽くまたぎ、左中間席に刺さった本塁打。原が白い歯を見せてベースを蹴る。再び実況が始まった。「外野手が追わないホームランなんて高校野球で見たことがありません」。初回、1―0から追加点を挙げる衝撃の一発で、決勝戦が動きだした。

 原 「最高の当たりだったと思う。それまであまり打ってなかったから、やっと1本出たなと。決勝まで守り抜いて勝ってきた印象が強かった。相模は強打が売りだったんだけど、冬を越えて久々の試合という形で戦うのがセンバツ。試合勘がなかったんだろうね。」

 東海大相模の前評判は「東の横綱」。ただ、準々決勝の豊見城戦で赤嶺賢勇(元巨人)に9回2死まで抑え込まれるなど歩みは苦しく、原は10打数2安打だった。「西の横綱」と呼ばれた高知も準決勝まで全て1点差。その両者が5万8000人の観衆を前に、鬱憤(うっぷん)を晴らすように打ち合った。

 前年センバツの大会本塁打数は1で、それもランニング本塁打だった。その夏、金属バットが導入されると大会11本と急増。中でも1年生・原の打棒は脚光を浴び、監督である父・貢との父子鷹の話題性もあってフィーバーを巻き起こした。

 原 「1年の甲子園から帰ると風景が一変した。みんなが知るようになって、学校のグラウンドに女子高校生やファンの方が多く来られた。招待試合で地方に行くのも当たり前、満員も当たり前。勝負の世界で大事なのは日頃の力を出せるか。物おじしなくなる環境でやれたのは幸せだったかもしれない。」

 注目も力にし、決勝の第1打席からマンモスを揺るがせた原。高知は杉村が打ちまくった。前年春に横浜の剛腕・永川英植(元ヤクルト)からサヨナラ打し、甲子園の人気者となった小柄なスラッガー。3回に適時三塁打、5回には同点打を放った。今度は原。8回、右中間三塁打で5―5同点のきっかけをつくった。2人は三塁手。三塁打のたびに顔を合わせた。言葉を交わす姿が話題になった。

 原 「(人気で)大変だね、と。そんなふうに言われた記憶がある。杉村さんは非常にニコニコされている先輩だと思った。高校野球でニコニコ…当時はなかなか珍しかった」

 延長に入り、13回へ。死闘を制したのは高知だった。杉村が遊撃横をゴロで抜いて左中間に達する勝ち越し三塁打。猛打で5点を挙げて試合を決めた。

 原 「サードにいて、2羽だったか、鳩がサーッと飛んでいくのが見えた。我々が陣取る一塁側から高知の三塁側にね。それからカンカン打たれた。甲子園の勝負の神様は、鳩だったかもしれないな。緊迫した好試合。全国制覇はならなかったけど、それに匹敵する満足感はあった」

 原の一発は大会11号で、甲子園球場での大会最多を更新。決勝は両チーム7三塁打だった。開幕戦の倉敷工16―15中京から「打撃上位」の新たな色を鮮明に見せた春。幕引きの効果音もまた、金属バットの響きだった。

 ◆高校野球は目標であり途上の場所

 原が本塁打以上に印象に残っているという場面がある。一発の後、1死二、三塁の好機。藤崎羊一のスクイズで3点目が入った。

 原 「父がスクイズを使ったのは僕の3年間ではその一回だけ。先輩も「使われてない」という。父が生きていたら聞いてみたい。何回目だった?って。」

 父・貢は、試合にプレッシャーを感じなくなるほどの緊張感のある練習を課す監督だった。一方で科学的だったと思い出す。水分や塩分の適切な補給。ウエートトレーニング。時代を考えれば先進的なことを肯定した。

 原 「根性や気合も大事ではあるけど、高校野球は目標であるとともに、途上の場所でもある。高校野球で鍛えられて長続きした選手がいる一方、無理をして野球生命が短くなる方がはるかに多い。このセンバツからタイブレークが導入された。画期的だと思う。ここからつながって、球数や日程も医学的な部分をもう少し組み込んで、先に進んでいってくれたらと思う。」

 期待するのは、高校生の将来を守るルールづくり。そしてもう一つ、可能性を見いだすための提言も行った。

 原 「高校野球は指名打者(DH)制があっていい。高校野球の投手はたいてい打撃もいいけど、それでもDH制を使う。そうするとレギュラーが10人になる。9人より10人の方が教育的だと僕は思う。試合に参加できる人が増えることはとてもいい。減ってきている高校球児も増えるかもしれない。さらに、プロになりたい目標を持つ人で足や守備はどうかな…だけど打つことなら負けない!という人はDH制があると夢が広がる。」

 4度出た甲子園大会。こうした取材を受けるたび、当時が懐かしくなる。

 原 「甲子園は、やっぱり最高の舞台。ワンプレーで自信がつく。温かくグラウンドが受け入れてくれる。高校生には悔いのない時間を過ごし、甲子園を本当に目指してほしい。出場を達成したなら、「よーし、腕試しだ」という気持ちで戦ってもらいたいね。」 =敬称略=

[ 2018年3月14日 10:35 ]

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