高校野球にも時代の波 変わる指導者の「ワークライフバランス」

[ 2018年2月26日 10:00 ]

第99回全国高校野球選手権大会開会式
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 最近、高校野球の世界にも時代の波が来ていると感じた出来事があった。

 ある強豪校の取材に行った時のこと。練習中、若いコーチが「すみません、ちょっと抜けさせてもらいます」と監督に声をかけてグラウンドを後にした。聞けば保育園へ子供を迎えに行ったという。現代では当然の光景ではあるが、選手の居残り練習につきあうなど時間が読みにくい高校野球界では珍しいシーンだと思った。「おう、いってらっしゃい」と送り出した監督は「大変だよなあ。俺らの時じゃ考えられなかった。子供を風呂に入れたのなんて1回くらいしかないよ。でも、これも時代だよね」と理解を示していた。

 野球に限った話ではないが、高校スポーツの指導者はとにかく忙しい。高校野球では教員である場合も多く、平日は授業と練習で1日が終わり、帰宅も遅い。土日は練習試合や遠征の引率などで不在がち。家庭のことは全部夫人に任せっきりという声も良く聞く。

 別の取材で日大三を訪れる機会があった。小倉全由(まさよし)監督と何気なく雑談をしていたら、監督がふと「最近、僕は本当に恵まれているな、幸せだなと思うんですよ」とつぶやいた。「家庭のことをまったく心配する必要がなくて、野球だけに集中させてもらえているから」。ある時、遠方の練習試合に出かけ、相手校の監督夫妻と小倉監督夫妻で食事したことがあるという。「そしたら奥さん同士が、亭主がどれだけ家にいないかで大盛り上がりしちゃってね」と苦笑い。旦那衆は真剣な野球談義をしながらも肩身が狭かったそうだ。

 夫人が寮母を務めたり食事を作ったりして支える場合もあれば、夫婦で分担しながら夫は指導と育児を両立したりと、指導者の家庭も本当にさまざまだ。ただ、かつてのようにプライベートな時間は一切なしで24時間365日を野球と選手に捧げることは、物理的に難しくなってきたのかもしれない。少子化で野球人口の激減が危惧される中、指導者の「ワークライフバランス」も新たな局面を迎えている。(記者コラム・松井 いつき)

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