あのプレーオフから13年…ロッテ・小林雅英投手コーチが描く勝利の方程式は

[ 2018年2月21日 11:10 ]

2005年10月18日、プレーオフ第2S第5戦の9回2死二塁、ソフトバンク・川崎を中飛に打ち取り、福浦と抱き合うロッテ・小林雅
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 今季のロッテの守護神候補の話題になった。新外国人のシェッパーズ、昨季、抑えだった内、過去に経験のある益田の3投手でまだ、思案中という。そんな話をしながら、小林雅英投手コーチ(43)と13年前のある試合の話題になった。

 「普段はマウンドへ上がると、集中するから観客の声さえ聞こえなくなるんですよ。ただ、あの試合だけはそうじゃなかった…」

 2005年のプレーオフ第2ステージ第3戦。シーズンを1位通過したソフトバンクに対し、2位通過だったロッテが、2連勝で王手をかけていた。4―0で迎えた9回は万全を期して守護神・小林雅が上がる。「1点差だったら普段通りにやれたでしょうね」。3万人を超える観客の声が、耳につく。「ダメだ、集中だ」と何度、言い聞かせても遅い。セーブ機会ではない4点のリードが、守護神の感覚を微妙ににぶらせ4失点。延長でサヨナラ負けを喫した。

 「選手たちは全員、ベンチから飛びだそうとしていました」と当時を知る梶原紀章広報がそう振り返るほど、頂点は目の前にあった。だが流れは完全に変わり、第4戦もソフトバンクが勝った。当時、ホークス担当だった記者も優勝を確信した。そして2勝2敗で迎えた最終第5戦もソフトバンクの1点リードで終盤に入っていく。

 ところが、8回に3番手・三瀬幸司が無死一、二塁とされると、当時の王貞治監督は守護神・馬原孝浩の投入を前倒しした。結果的に早めの投入は裏目となり、里崎から逆転打を浴びた。1点差の9回は小林雅がマウンドに上がった。見ている側からすれば「再逆転」の光景が浮かぶほど、2日前のKO劇は強烈だった。ただ、ロッテの守護神は何事もないように無失点に抑え、31年ぶりのリーグ制覇の胴上げ投手になったのだ。

 「抑え投手が決まればこれほど、楽なことはないです」。成功するのが当たり前であり、失敗すれば全責任を背負わされかねない。どちらに転ぶかもまた、紙一重だったのだと思った。そして、その難しさが顕著に表れ、明暗を分けたプレーオフだったと思った。

 投げる立場から起用する側になった「幕張の防波堤」はもう少し悩むと言った。悩み抜いた末、どんな勝利の方程式を描くのか、楽しみに待ちたい。(記者コラム・福浦 健太郎)

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