飛ばしたい衝動に耐える西武・秋山 「柵越え○本」にはない奥深いその練習姿勢

[ 2018年2月16日 10:30 ]

南郷キャンプで打撃練習を行う西武・秋山
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 平昌五輪は15日に7日目を終えた。メジャーリーグも15日にバッテリー組がキャンプイン。スポーツ界の話題は海の向こうで盛り上がっていくばかりだが、プロ野球のキャンプも折り返しいよいよ実戦が本格的になってくる。

 ところが…。全国的に冷え込みが厳しい18年。平昌も寒いが、キャンプ地も寒い。沖縄も宮崎もなかなか気温が上がってこない。選手たちは調整が難しいキャンプを送っている。

 15年目となった西武の宮崎・南郷キャンプ。昨年のパ・リーグ首位打者・秋山にこの時期の練習への取り組みを聞くと、アスリートのセルフコントロールに対する考え方の深さを感じた。

 昨年、打率、安打数、得点、塁打など、数多くの打撃部門でリーグトップだった好打者。実は本塁打はチーム2位の25本(リーグ9位)、長打率もソフトバンク・柳田の・589に次ぐ・536でリーグ2位だったが昨年、飛躍したこの長打がやっかいだという。

 「去年ホームランが出ちゃった以上、ホームランを減らして打率が維持できて納得できるかは分からない。僕からしたら元々そうじゃない人間。その辺は自分の中で引き締めながら、戒めながらやっていますね」

 そうは言いながら、一緒に練習を重ねるチームメートの姿をみると欲が出てしまう衝動に駆られるという。「外で山川とかと組んでいると“いやー振りたいな”“飛ばしたいな”と思っちゃう。心が引っ張られちゃったりしますよね、人間だから」。フルスイングで軽々とオーバーフェンスするチームメートの姿は実に刺激的だ。だが、その衝動を我慢しながら日々の練習に臨んでいる。

 「距離が出るようなバッティング、スイングに向かったらもう元に戻れないし、一発で崩れると思っている」

 キャンプでは野手の柵越えが手っ取り早いニュースになる。「○スイングで柵越え○本」。我々、記者にとっても記事にしやすい魔力を持つ数字なのだ。

 だからこそ秋山のようなタイプの打者の練習内容、考え方は非常に奥深い。この時期、選手が着々とシーズンに向けて爪を研ぐ姿の観察もキャンプならでは、と思っている。(記者コラム・春川 英樹)

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2018年2月16日のニュース