稼頭央「俺、まだ負けへんぞ」 内野で特守「爽快だった」 伊東勤氏が直撃

[ 2018年2月10日 09:00 ]

スポニチ本紙評論家の伊東氏(左)とガッチリ握手する松井稼頭央
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 15年ぶりに西武に復帰した松井稼頭央外野手(42)が、今年からスポニチ本紙評論家を務める伊東勤氏(55)とキャンプ地の宮崎・南郷で対談した。松井は日米通じて25年目のシーズン。西武黄金期の名捕手で侍ジャパンの強化副本部長にも就いた伊東氏の「好リード」で、古巣でたぎる負けじ魂を言葉にした。

 伊東 今、どんな感じなの?前の西武時代とは違うだろう。

 松井 違うんですけど、スタッフの方や裏方さんは昔、一緒にやっていた人が多いので、その辺はすんなりなじめています。

 伊東 コーチ兼任で、若い選手に対して今までやってきたことを教えつつ、なおかつ自分も選手として準備していかないといけない立場になった。その辺はどうなの?

 松井 コーチという名前がつくので、そこはどういうふうにしたらいいのか…というのはあります。ただ、兼任ということで、若い選手が練習をしているのも最後まで見る。逆にいい緊張感の中でやらせてもらっています。伊東さんも兼任コーチをされましたが、その時はどうだったんですか?

 伊東 コーチ兼任を2年やったけど(※1)、1年目はまだ自分が選手として出たいから、いろいろなノウハウを教えられなかった。これを教えてしまったら自分が出られない、という怖さみたいなものがあった。でも1年たって、ケガをして選手として駄目だと思った時に、若い選手に全部、教えるようにしたね。だから、今の稼頭央の立場なら選手としてのことを考えていたかな。

 松井 僕は今は選手の方が多いです。朝のコーチミーティングは出ますが、練習後のミーティングは出ていません。まずは選手としてやっていきたいという気持ち。他の選手と話している中で、いろいろなことが出てくるので、思っていることや、考えていることを聞いて話ができればいいなと思ってやっています。

 伊東 キャンプでは久しぶりに内野の練習もしている。

 松井 基本は外野手ですが、辻監督からサードでもノックを受けてみるかと言っていただきました。下半身強化になり、年齢がいくと反応が遅くなっている中でサードは打球も速い。そういうことも含めて、やってみるかと。そう言ってもらえることがうれしくて。どんな形でも試合に出たいという気持ちを持っているので“やりたいです”というふうに答えました。

 伊東 8日は内野で1時間以上の特守も受けていた。あれを見たら(内野の)戦力として見られるようになったんじゃない?首脳陣から。まだ、全然、いけるだろう?

 松井 いきたいです(笑い)。アピールもしようと思ってやりました。本当に久しぶりに、前にライオンズにいたとき以来じゃないですかね。楽天でもあったけど、自分でお願いして100本、150本くらいの特守だった。ああいうふうな特守は本当に久しぶりで、終わった後の爽快感が凄かったです。

 伊東 内野も、という状況でキャンプに入ってきたのは近年なかったの?

 松井 ないですね。だから全然、違います。実戦も楽天では紅白戦も出なかったり、シート打撃もしなかったり。今、メニューにシート打撃も入ってきて、それにも入りましたし、逆に新鮮です。多少は配慮してもらっているところもありますが、自分としてはなるべく全部のメニューに入るつもりです。

 伊東 いくつになったんだっけ?

 松井 今年43歳になる年です。プロに19歳で入って、僕らから見た伊東さんって物凄いベテランに見えました(※2)。実際、そういう年齢になってみて、まだ若いって気持ちがあります。この年齢になっても「俺、まだ負けへんぞ」って気持ちでやっている。当時は伊東さん、本当に黙々と走っていた。「伊東さんがこんなに走ったら僕ら本数増えるやん。6本ぐらいでやめて」といつも思いながら見ていました。今、走ると若いやつにもっと走れ!って思ってしまいます(笑い)。

 伊東 1年でも長く頑張ってほしい。ずっと気になっている選手の一人だから。今年は稼頭央に注目しないといけないな。

 松井 いや、それがこの、話題性が先行してですね…。15年ぶりに西武に帰ってきて、7番を背負って。みんな僕のこの2、3年の成績を忘れているんじゃないかって(※3)。

 伊東 それは忘れればいい。またここからスタートだと。体つきも全然、変わっていないし、前より良くなったんじゃないかなと思うくらい。外野も内野も守れるし走れるし、侍に推薦しとくよ。

 松井 それは勘弁してください(笑い)。

 【注釈】

 (※1)02、03年は捕手兼総合コーチ。02年は118試合に出場も、03年は開幕直後の4月に左太腿の肉離れを起こし離脱。73試合の出場にとどまり引退。翌04年、監督就任。

 (※2)松井が新人だった94年、伊東は13年目の32歳。不動の正捕手で年俸も1億8000万円あった。その後95〜03年までともに1軍でプレーし、3度のリーグ制覇に貢献。松井は04年にメッツへ移籍した。

 (※3)11年に楽天で8年ぶりに日本球界復帰。15年まで5年連続100試合以上に出場したが16年は56試合と激減。昨年は44試合で.211、10打点、2本塁打に終わった。

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