「2ストライクになったら負け」球児たちの結果を恐れぬ“振る勇気”

[ 2018年2月4日 11:55 ]

春夏通じて初の甲子園出場を決めた由利工
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 秋田の由利工が、21世紀枠で春夏通じて初の甲子園となるセンバツ出場を決めた。地元中学の軟式野球部出身の選手たちは、昨秋東北大会で8強入りした。渡辺義久監督は「軟式では“待て”のサインが多いようなので、まず初球から振ることからスタートした。2ストライクになったら正直負けだと思っている」と言う。積極的に打ちにいくから試合時間は短い。2―4で敗れた東北大会準々決勝・花巻東戦は1時間25分だった。

 その話を聞いて思い出したのが、13年のセンバツだ。福島支局で高校野球担当だった当時、福島から21世紀枠で、いわき海星が出場した。若林亨監督は当時「絶対気持ちで負けるな。初球から振っていけ」と指示を出していた。実際に試合を見ると、カウント3―0のとき以外ほとんど見逃しストライクがなかった。センバツ1回戦の遠軽戦でも初球からガンガン打ちにいき、0―3で惜敗。試合時間は大会史上最短記録に1分差の2番目に短い1時間16分だった。

 今回のセンバツにも出場する福島の聖光学院の斎藤智也監督は「勇ましく振っていく」という言葉をよく使っていた。振る勇気だ。「角度90度のフェアグラウンドに入ったら、アウトかセーフか結果が出る。その結果を恐れずに振っていく勇ましさがないと打てない」と話していた。鋭い打球でもアウトになることはあり、それで負けることもある。それでも振っていくためには「勇気」が必要だという。

 聖光学院の試合を数多く取材したが、特に満塁では初球を打つことが多かった。「四球なら押し出しだな」と消極的な考えで初球のストライクを見逃した時点で、勝負がついているのかもしれない。斎藤監督は「振っていく気持ちがないと、自分の体から離れていくスライダーなんていう球が打てるわけがない。甲子園の試合時間が短いのは、強いチームは初球から振る準備ができているからだ思う」と言っていた。

 第90回の記念大会。由利工に注目している。大舞台に臆することなく、初球からフルスイングする姿を見たい。(記者コラム・渡辺 剛太)

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2018年2月4日のニュース