【伊東勤の野球論】短期決戦の4番は自己犠牲の精神必要

[ 2018年1月13日 11:30 ]

西武・浅村
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 《(3)打者編》 捕手にとって嫌なのは「ストライクゾーンなら1球目から振ってくる打者」。昔は1球目はボールを見ろとか、先頭打者は投手にたくさん投げさせろとか言われたが、今は好球必打で、早いカウントのストライクを打ってくる。積極的だがボール球は振らないのがいい打者とされる。

 いい打者は3球目までに勝負をつけてしまう。だから、現代の野球は、バッテリーの配球が次の打席、あるいは次の試合へとつながっていかない。

 昨季、楽天がペゲーロを起用したように、最近は本塁打を打てる打者を2番にする「2番最強打者説」もよく言われる。いい打者が増えたから、簡単にアウトを相手に与えない野球が主流になってきた。犠打で1点を取りにいくより、併殺の危険があっても大量点を狙う。自軍の先発投手や主軸にもよるが、「最強2番」はありだと思う。

 理想の4番打者は長いシーズンと短期決戦では違う。長いシーズンなら一番信頼できる打者がいい。「彼が駄目なら仕方ない」と思われる選手。ソフトバンクの内川がそうだ。あの年齢であの打ち方ができることが凄い。若手では西武の山川もおかわり(中村)の代わりに頑張っていた。

 ただ、五輪のような短期決戦なら4番打者であってもバントや右打ちが必要。勝利を優先し、データに振り回されない柔軟性が欲しい。アテネ五輪で4番を打った城島のような。今、似たタイプなのは西武の浅村。彼はいい打者だと思うし、短期決戦で4番を打たせられる選手だと思う。

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