星野氏、魂を焦がすほどの情熱 王氏に詰め寄り「拳はいかんでしょう!」

[ 2018年1月7日 08:20 ]

星野仙一氏死去

クロマティの死球で乱闘になり王監督(右)に掴みかかる中日時代の星野監督(1987年6月)
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 星野氏の訃報を受け、巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(81)、ソフトバンク・王貞治球団会長(77)が、それぞれ球団を通して哀悼の意を表した。現役時代から監督、球団トップと立場が変わっても続いた、最大にして最高のライバル関係。闘争心むき出しで向かってきた熱血漢との早すぎる別れは、ONにとっても大きな衝撃だった。

 星野氏が「私の永遠のライバル」と公言した巨人。ONはその象徴だった。長嶋氏は「あまりにも突然のことで本当に残念でなりません」と沈痛なコメントを発表。王氏は「闘志を前面に出した、あの攻撃的な投球は、勝負していてとてもやりがいのある投手でした」と思い出を語った。

 名勝負を挙げればきりがない。巨人の10連覇がかかった74年シーズン。ONの前に星野氏が立ちはだかった。

 長嶋氏の11歳下、王氏にとっても7歳下の若者が、魂を焦がすほどの情熱で向かってきた。長嶋氏が最後に対戦したのは9月30日。ナゴヤ球場で星野氏の前に4打数無安打に斬られた。星野氏が15勝10セーブと大活躍して阻止した巨人のV10。その年限りで現役引退した長嶋氏は「打倒巨人を前面に闘志満々でぶつかってきた投手だったからこそ、私も負けずに“さあ仙ちゃん、来い”と心を燃やすことができ、対戦するのが本当に楽しみでした」と懐かしんだ。

 監督としてもONと星野氏の戦いは続いた。87年6月11日の巨人―中日戦(熊本)、死球に激高した巨人・クロマティがマウンドの中日・宮下を殴打した際は、星野氏が王氏に詰め寄り「拳はいかんでしょう!」と鼻先にゲンコツを突きつけた。

 99年には長嶋巨人を破った星野中日が、王ダイエーと日本シリーズで激突。対戦前に「ONと対決するのは昔から俺と決まっているんや」との星野氏の挑発に「決まった後なら何とでも言える」と温厚な王氏も応戦した。

 現役でしのぎを削り、監督でも名勝負を演じた。それぞれが球団フロントに入っても覇権を争った。長嶋氏は「監督としても多大な実績を残され、さらなるご活躍を期待していました」と惜しんだ。王氏もまた「とにかく残念でなりません」と言葉を継いだ。

 ONを偉大にしたライバルたち。その筆頭は間違いなく星野氏だった。

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