【石井一久 クロスファイア】米で武者修行 ヤクルト寺島の進化期待

[ 2017年12月20日 11:30 ]

ヤクルトの寺島
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 ヤクルトが、ルーキーイヤーを終えたドラフト1位・寺島と同3位・梅野の両投手を、米国アリゾナ州への武者修行に派遣するという。来年1月中旬から約2週間。トレーナーの派遣が本来の目的だが、そこに若手2投手を同行させる。球団初の試みだそうだが、僕は非常にいいことだと思う。2人とも高校からプロ入り。10代の頃から本場のトレーニングを経験できるというのは、なかなかできることではない。

 僕は入団5年目の96年オフに米国で左肩を手術し、そのままクリーブランドに残って、インディアンスの球団施設でリハビリ生活を送った。その時に学んだトレーニング方法が、自分の基礎になった。もちろん、日本流の投げ込みや走り込みの大切さは分かっていたが、それだけでは足りないということを米国で学んだ。当時、日本では今ほど重要とされていなかったウエートトレーニングだったり、体のメンテナンス方法だったり…。

 米国で体の仕組みにも興味を持った。ただ漠然と鍛えるのではなく、体の仕組みを理解すると、体の部分部分を強化するには、どこを重点的に鍛えればいいのか分かる。それはケガ防止にもつながり、肩の炎症はどういう時に起きるのか、そのためにどのようなトレーニングをすればいいのか。そこに意識が行くと、トレーニングの効率も上がる。以降、大きな故障がなかったのは、人よりも早く最先端のトレーニングに触れたことが大きいと思う。

 今はトレーニングの情報もすぐに入ってくるので、僕の頃のような「浦島太郎状態」ではないと思うが、若い時は異国の地で、新しいものに接すると興味が湧く。そして、興味を持つと、もっと深く知ろうとする。言葉や生活面で不自由なこともあるが、得るものの方が大きいはずだ。

 寺島は今季は左肘痛を発症し、1軍登板はわずか1試合。4回途中5失点だった9月30日の中日戦を見たが、故障の影響もあるのか、直球の球速は平均140キロ前後で、高校の時と比べて、小さくまとまってしまった印象を受けた。素材は間違いなく一級品。アリゾナへの武者修行は、変われるきっかけになると思う。 (本紙評論家)

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2017年12月20日のニュース