“快足”阪神ドラ4島田、打撃も魅力 原点は父との実家リビングでの素振り

[ 2017年12月1日 11:15 ]

阪神ドラフト4位・島田
Photo By スポニチ

 ニックネームは桐生。他人の名字だが、チームメイトから、からかわれてそう呼ばれることもある。

 島田海吏。俊足野手を求めていた阪神からドラフト4位で指名を受けた。“助っ人”として出場した中学の陸上全国大会100メートルで現日本記録保持者の桐生祥秀に先着したのは、虎党の間ではすでに有名な話。しかし、走力だけでプロ野球選手になれるほど甘い世界ではない。島田の魅力は、打力に隠されている。

 普段から辛口でめったに選手を褒めない上武大・谷口英規監督は、「成長を感じたのは打撃。振る力は本当にある。振り込んでもいるし。スイングスピードはプロにいっても通用します」と太鼓判を押す。大学3年春には打率・469でリーグ首位打者を獲得するなど実績も十分だ。

 打撃の原点は実家の、あるお気に入りの場所。父・博文さんは、自宅のリビングを指さして、「小学校のころから、いつも海吏がここに鏡を立てかけて素振りをしていたんですよ」と懐かしそうにほほえんだ。

 納得がいかないときは、博文さんに教えを請うた。「気になるときは自分から“お父さん、ちょっと見て”って。私は小学校までしか野球をやっていないのに聞いてくれました。1回も“お父さんは、野球知らんけん”とは言わなかった」。

 それは、父の教えを忠実に守っていた証拠でもあった。「“色んな人の意見を違うと思って切るのはやめろ”と言っていました。言われたらとりあえずやってみろと。何かあるから言ってくれるんだと思うよって」

 素振りだけで満足できないときは「バッティングセンターに連れてって」と頭を下げた。実家の周りは畑に囲まれた田舎町。自宅から車で片道30分かけて打ち込みに出かけた。

 大学生となった今も年末に地元の熊本に帰ったときは、いつもの場所で素振りをする。今年の年の瀬も、あの場所でバットを握るに違いない。そして、言うだろう。「お父さん、ちょっと見て」。

続きを表示

2017年12月1日のニュース