「マドンナ・ジャパン」トライアウトに96人 新HCの木戸さん「何か、PL時代を思い出したよ」

[ 2017年11月25日 15:50 ]

女子野球日本代表・木戸克彦ヘッドコーチ(右)と話す吉田義男氏
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 女子野球日本代表「マドンナ・ジャパン」の代表選手を選ぶトライアウトが25日、大阪・箕面市の履正社スポーツ専門学校北大阪校野球場で始まり、新たにヘッドコーチに就任した阪神球団本部部長の木戸克彦さん(56)も日本代表のユニホーム姿で目を光らせた。

 6連覇に挑む来年8月の世界野球ソフトボール連盟(WBSC)第8回女子野球ワールドカップ(W杯)に出場する日本代表選手を選考で、書類・動画による1次選考を通過した96人が参加。今回(26日まで)の関西会場42人、12月2―3日の東京会場54人が実戦形式のトライアウトに臨む。候補選手を約30人に絞り、来年の合宿(宮崎県日向市、高知県安芸市、新潟市)を経て、女子プロ野球からの約5人も加わり、最終メンバー20人を決める。

 木戸さんは「新鮮で、驚くことが多い」と話した。「女の子たちが非常に純粋に、ひたむきに野球に情熱を傾けている姿に感動した。映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』じゃないが、昔に逆戻りした気分。グラウンド整備する姿、丁寧に立ち止まってお辞儀する姿……何か、PL時代を思い出したよ」

 木戸さんは1978(昭和53)年、夏の甲子園大会で、PL学園が初優勝した時の主将だった。今年夏、PL学園野球部の後輩で、履正社専門学校の硬式野球コースGM・監督、森岡正晃さん(54)を通じてコーチ就任の打診を受けた。

 森岡さんは「木戸さんは阪神タイガースでの仕事もある。受けてくれないかなあ、と思っていたが、OKだった。その時聞いた話を忘れない」と言う。「森岡、PLの野球部はもうないけどな。オレたちがPLで学んだことを伝えて広げていけば、PLの魂はいつまでも、どこまでもつながっていく。オレはやるよ」

 PL学園野球部は昨年夏限りで休部、日本高校野球連盟(高野連)を脱退した。消えゆく名門の炎が女子野球で燃えようとしている。

 「野球をする子どもが減ってきているが、野球を経験した女性が将来、母親となり、子どもとキャッチボールしたり、ノックする風景が当たり前になる日が来るかもしれん」。野球振興への思いもあった。

 全日本女子野球連盟の長谷川一雄会長によると、昨年度で中学、高校、大学、クラブチームを合わせ、登録63チーム、選手1576人。「今年増えて、来年はまた増える見通し。連盟に登録していない選手もいる。軟式野球では1万人ほど選手がいる。女子野球はまだまだ発展していくだろう。この日本代表、侍ジャパンは女子の夢と目標となってもらいたい」

 この日はグラウンドに元阪神監督でフランス代表監督も務めた吉田義男さん(84)も激励に訪れた。吉田さんは「木戸はタイガースの仕事もあるだろうが、女子野球の世界でがんばってもらいたい。野球界の裾野を広げる意味でも意義ある仕事だ」と話した。吉田さんは10月にWBSC総会で日本初の女性理事(野球部門)に選ばれた山田博子・全日本女子野球連盟専務理事らとトライアウトを見守った。

 今年5月に就任した橘田恵監督(34)は選手たちを前に「緊張しているなかで、どれだけパフォーマンスを示せるかを見せてもらいたい」と話した。「ワールドカップ本番でもずっといい状態で通せることはない。今回のトライアウトでも、失敗しても短時間のうちにどう次に取り戻すことができるか。そんな点も見ていきたい」

 木戸ヘッドコーチには「バッテリー部門は全面的にお任せしている。すでにクセを見抜く技術など、多くのことを学ばせてもらっている。私自身も勉強していきたい」と期待を示した。

    (内田 雅也)

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