侍J今永、台湾メッタ斬り イニング間に重さ1キロのボールで“調整”

[ 2017年11月19日 08:28 ]

アジアチャンピオンS予選リーグ   日本8―2台湾 ( 2017年11月18日    東京ドーム )

日本先発の今永
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 侍ジャパンは予選リーグ最終戦で台湾に8―2で勝ち、2勝0敗の1位できょう19日の韓国との決勝に進んだ。先発の今永昇太投手(24=DeNA)が6回3安打無失点、12三振を奪う快投。ソフトバンクとの日本シリーズで2試合連続2桁奪三振をマークした輝ける才能を、ここでも解き放った。

 不運な形でピンチは訪れた。4回先頭・陽岱鋼(ヨウダイカン)の高いフライは二塁手の前に落ち内野安打。4番・王柏融(ワンボーロン)は一ゴロで併殺コースも、一塁手が二塁へ悪送球し無死一、三塁。リードはわずか1点、今永の真価が問われた。

 「そういう時こそみんなの信頼を勝ち取るチャンスだと思った」

 内野ゴロも、外野フライも許されない。三振だけが求められる場面で142キロ直球、135キロ高速スライダー、137キロ直球で圧巻の3者連続空振り三振だ。「あそこで点をやらなかったのは良かった。自分の直球をしっかり投げればと自信がついた」。敗れれば決勝進出を逃す一戦でチームを救った。

 初回から5回1死まで、13個のアウト中12個が三振。日本シリーズと合わせ3戦連続2桁奪三振だ。広島とのCSファイナルSでの経験が今永を変えた。

 第4戦でプロ初の中継ぎで起用され、2イニングを完璧に抑え3三振。菊池から三振を奪ったスライダーは140キロを計測した。「今までにない感覚だった。とにかく腕を振ろうとした結果。中継ぎの副産物ですね」。この日もワンバウンドでも、鋭い腕の振りで何度もバットを振らせた。

 加えて日本シリーズからイニング間の練習に秘密兵器を導入。硬球より5倍近く重い約1キロのトレーニングボールで、肩のストレッチ用に投げていたもの。「調子が上がらず、試したら凄く良くなった。今回もチームから借りてきた」とジャパンのロゴ入りバッグにしのばせてきた。国際大会はイニング間にベンチ前でのキャッチボールは行えないが、ブルペンへ戻り体を動かし、好投につなげた。

 駒大4年時に大学日本代表に選出されたが、左肩痛で辞退。自身初の国際大会だった。お立ち台で稲葉監督は「明日、必ず大事なところで今永がいってくれると思うので」と話すと、場内がザワザワ…。すぐ間違いに気付き「あ、山崎(康晃)です。すいません」と爆笑を誘った。聞いていた今永は「僕自身は明日も準備します」と総動員となる一戦へ意欲。連投は現実的ではないが、1メートル77の左腕がどこまでも頼もしく映った。未体験だった10月、そして11月の野球が今永を一回りも二回りも大きくした。 (後藤 茂樹)

 ▽今永の日本シリーズ2戦連続2桁奪三振 ソフトバンクとの日本一決戦。10月29日の第2戦では、柳田から2打席連続空振りで奪うなど6回で10奪三振、1失点と好投した。11月4日の第6戦でも7回0/3で4者連続を含む11三振を奪い、2失点。同一シリーズ2度の2桁奪三振は07年のダルビッシュ(日本ハム)以来、2人目の快挙だった。

 ≪国際大会で12K以上は松坂以来≫今永(D)が12三振を奪う快投。プロ参加のシドニー五輪以降、五輪とWBCを含む主要国際大会で日本投手の2桁奪三振は、15年プレミア12で大谷(日)が2度マークして以来5人目(8度目)。うち、12奪三振以上は、04年アテネ五輪準決勝のオーストラリア戦で松坂(西)が13三振を奪って以来13年ぶり2人目。左腕では08年北京五輪の和田(ソ)と成瀬(ロ)の10三振を抜く最多奪三振になった。

 ▼日本・田村(今永を好リード)直球がエグいし、変化球も何でもいける。受けていて本当に面白かったです。

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