日本球界はメジャー流出による空洞化と育成ブーム到来

[ 2017年11月10日 10:38 ]

DeNA・宮崎
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 日本球界は「育成ブーム」が到来しそうだ。今オフも日本ハム・大谷、西武・牧田がポスティング、さらにロッテ・涌井、オリックス・平野はFAでメジャー挑戦を目指す。昨今は主力選手のメジャー流出が激しく、国内の空洞化が著しい。もはや国内での移籍は「メイン」ではなくなった。それとリンクするように、育成に力を注ぐ球団が増えている。

 2年連続でリーグ制覇した広島はもちろん、DeNAも自前の選手が育ち、今年は1998年以来の日本シリーズに進出。2010年のロッテ以来となる、レギュラーシーズン3位からの「下克上」はソフトバンクに阻まれたものの、競り合った試合が多く、力の差を感じさせなかった。今のDeNAを見ると、「ひと昔前の広島」というイメージが強い。

 外国人の獲得を除けば、補強にさほどお金をかけず、生え抜きの選手を育てる。打者では筒香や梶谷はもちろん、急成長した宮崎が首位打者を獲得。投手でも14年ドラフトから1位で指名した投手が当たり続きである。高田繁GMは「即戦力で活躍できる投手が必要」と言い続け、14年から山崎康、今永、浜口を獲得。守護神を務める山崎康、今永と浜口は先発ローテーションの柱になっている。

 高田GMは「もう一枚、先発が欲しい」と清宮に7球団が競合した今年のドラフトでも見事に大学No.1左腕・東(立命大)の単独指名に成功した。来季は「左腕王国」を築き、CSの常連、さらには1998年以来の優勝も決して夢ではない。

 そのDeNAとの3位争いに敗れた巨人は「転換期」を迎えている。2006年以来のBクラスに転落。CS進出を初めて逃し、FAで陽岱鋼、山口俊、森福を獲得した大型補強も効果はなかった。今オフ、鹿取義隆GMは「若手が伸びてくれるのがメイン。いる選手に期待する」と補強よりも、若手育成を最優先する方針を明確に打ち出した。主力選手だった村田を自由契約にし、ポジションを空けることで「退路」も断った。すぐに結果は出なくても、数年後を見据えたチームづくりに切り替えた。

 余談だが、広島やDeNAのファンが熱狂的なのは地域密着だけではなく、生え抜きの選手が育って活躍していることも多分にあると思う。ファンが感情移入しやすい球団。プロスポーツのチームを運営する上で、大事なことだ。(記者コラム・飯塚 荒太)

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2017年11月10日のニュース