【斎藤隆氏が見たWS】ダル不運だった「滑るボール」変更 ア軍は13年楽天思い出した

[ 2017年11月3日 10:20 ]

ワールドシリーズ第7戦   ドジャース1―5アストロズ ( 2017年11月1日    ロサンゼルス )

NHK―BSの解説者として全7戦を観戦した斎藤隆氏
Photo By スポニチ

 ドジャースOBの斎藤隆氏(47=現パドレス球団アドバイザー)が、第7戦までもつれ込んだワールドシリーズを振り返った。NHK―BSの解説者として全試合を観戦。ダルビッシュの投球に影響を及ぼした「滑るボール」や、初制覇に導いたアストロズのA・J・ヒンチ監督の采配について語った。

 29年ぶりのワールドチャンピオンへ、期待感が大きかっただけに、試合後のドジャースタジアムは何とも言えない失望感が充満していました。ダルビッシュは、本人が一番悔しいと思います。

 確かに「滑るボール」は不運でした。最も影響を受ける球種がスライダーで、この試合も先頭のスプリンガーにいきなり二塁打。でも、スライダーを捨てるという選択肢はなかったでしょう。トレードマークの球種で、一番信頼できる球。先発投手の性質として、自分の持ち球はゲームの中で必ず修正できると思っています。ただ、その修正を図る前に、全てが終わってしまいました。

 記録的な本塁打ラッシュの「陰の立役者」となった今回のワールドシリーズの使用球。私も実際に触りましたが、レギュラーシーズンとは明らかに違いました。縫い目のヤマの高さがなく、日本の公式球に近い感じ。プレーオフの使用球とも滑り具合が若干、違いました。アストロズのバーランダーは「ボールが飛ぼうが、飛ぶまいが、それは問題ではない。投手が望むのは、ボールが一定であること」と会見で言いましたが、指先の感覚は、何千、何万球と投げている投手が一番分かります。ボールが変わったら、プロとして対応しないといけませんが、シーズンの途中、それも最高峰の舞台でボールが変わったとしたら、残念なことです。

 一方、アストロズは素晴らしい戦い方でした。救援陣が大きな弱点でしたが、A・J・ヒンチ監督の非情ともいえる采配で、第2、4戦で失点した抑えのジャイルズに見切りをつけ、先発投手を救援に配置。第7戦もピーコック、モートンを投入し、ブルペンではカイケル、バーランダーの2本柱をスタンバイさせました。先発投手でつないでいく、短期決戦の新しいスタイル。13年に私が在籍していた楽天が則本、田中を救援に起用して、日本一になった時のことを思い出しました。

 ドジャースOBとしては、今年こそはトロフィーに手が届くのではないかと思って見ていましたが、「ヒューストン・ストロング」を掲げて団結したアストロズはチャンピオンにふさわしいチームでした。 (パドレス球団アドバイザー)

続きを表示

2017年11月3日のニュース