【槙原寛己 シリーズ大分析】浜口の好投引き出した 高城のアバウトな構え

[ 2017年11月2日 09:30 ]

SMBC日本シリーズ第4戦   DeNA6―0ソフトバンク ( 2017年11月1日    横浜 )

極端にコースを限定しないアバウトな高城の構え
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 DeNA・浜口の快投を引き出したのは、女房役・高城の「ひと工夫」にあったと、本紙評論家の槙原寛己氏(54)は分析した。投手心理として、コースにきっちり要求されるより、捕手がアバウトに構えた時の方が腕を思い切り振れるという。ソフトバンクの勢いを止めた若いバッテリー。その上でDeNAが奇跡を起こすには、4番・筒香の復調が不可欠とした。

 ◆前日までの嶺井、戸柱と対照的

 リード(Lead)には「導く」との意味がある。捕手のリードは配球を決め、サインを出すだけではない。高城はその「構え」で浜口を好投に導いた。そこには大胆にして、投手心理を読み切った見事な工夫があった。

 おそらく、ブルペン投球の時点から「きょうのボールなら大丈夫」との確信があったのだろう。高城は外角低めなど、コースにきっちりと体を寄せてミットを構えることをしなかった。アバウトに、投げさせたいコースを中心に大きく構える。前日までの嶺井、戸柱との違いだった。

 投手の目線から、捕手がコースを狙うように構えた場合は投げミスが減る可能性がある一方で、ピッチングが窮屈に、小さくなる恐れがある。第3戦の4回1死二、三塁。嶺井は左打者の高谷の内角ギリギリに構えた。マウンド上のウィーランドから見て打者に隠れるほどの位置で、難しいコースを狙うがゆえに直球がシュート回転して甘く入った。結果は適時打。この日は高城の構えがアバウトだったからこそ、浜口は思いきり腕を振ることができた。

 浜口が存分に腕を振った結果、最大の武器である「奥行き」が生きた。彼は全ての球種で腕の振りが同じ。右打者には120キロ前後のチェンジアップを多投したが、打者は直球だと思って打ちにいってもボールが来ない。一方で直球にはタイミングが遅れる。5回無死一塁では、前の打席でチェンジアップで空振り三振に仕留めていた川島を、内角直球で投ゴロ併殺打。球速は135キロ。それでも詰まらせたのは、同じフォームで全球種を投げ分ける浜口だからこそできた芸当だった。

 ◆あとは筒香の復調待ち

 投打がかみ合った1勝。真の下克上へ、ここからさらにムードを上げるには4番の一発が不可欠になる。筒香は4打数無安打。シリーズで本塁打、打点ともに0だ。第2戦の6回、左キラーの嘉弥真に131キロの外角スライダーで喫した空振り三振が尾を引いているのかもしれない。

 第3戦の7回にはモイネロ、この日の初回には和田の外角直球に見逃し三振。ともに左腕だった。嘉弥真のスライダーの「残像」でタイミングがわずかにずれ、左投手の直球に差し込まれ気味になっている。強く振ろうとして甘いボールをファウルにするシーンも目立った。ロペス、宮崎と前後を打つ打者が好調をキープしているだけに、筒香のバットこそが得点力アップのカギを握っている。

 初回に1番・桑原が打席に入った場面など、スタンド全体から湧き起こる歓声は凄かった。見ているだけで鳥肌が立つような感覚で、そんな中でプレーができる選手が心底うらやましいと思った。筒香が打てば、その盛り上がりは頂点に達するだろう。地の利を最大に生かしたい。

 ◆ソフトは切り替えやすい1敗

 ソフトバンクは敗れはしたものの、大きなミスはなかった。浜口の好投には屈したが、完敗なだけに逆に切り替えは容易だろう。開幕からの3連勝はDeNAと比べて犠打や盗塁、守備などで細かいミスをせず、そつのない試合運びをしたから。4回の今宮の好守も見事だったし、選手は百戦錬磨。シーズン同様に、これまでの戦いを貫けばいいとチームは思っているはずだ。

 ただ、工藤監督は短期決戦では一つの白星で流れが変わることを熟知している。86年の広島との日本シリーズ。西武は開幕戦の引き分けに続いて3連敗したが、第5戦は延長12回に現役だった工藤監督のサヨナラ安打で勝利した。そこから一気の4連勝で日本一に。指揮官も百戦錬磨。どう引き締めてくるか注目したい。

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