ソフトB内川 ブーイングに“お返し”王手打「日本一に一歩近づいた」

[ 2017年11月1日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2017第3戦   ソフトバンク3―2DeNA ( 2017年10月31日    横浜 )

<D・ソ>初回2死三塁、DeNAファンで埋まるハマスタで右越え適時二塁打を放つ内川
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 さあ、スイープだ!ソフトバンクが3―2でDeNAを下し、3連勝で2年ぶり8度目の日本一に王手をかけた。初回2死三塁で4番・内川聖一外野手(35)が右越えへ先制適時二塁打。10年まで所属した古巣の本拠地で、試合前にはブーイングを浴びたが、異様な雰囲気を自らのバットで振り払った。1日の第4戦も制し、一気に頂点を狙う。

 逆風を力に変える男になった。初回2死三塁、チャンスは内川へ巡ってきた。1、2戦で先制適時打を放ったデスパイネが、目の前で空振りの三振。流れを止めるわけにいかない。ウィーランドのカーブを右越えへ。シリーズ初打点でチームの3試合連続初回先制点を生み、これが決勝点になった。

 「(1、2戦は)柳田が出てデスパイネが還していたが、今日はやられた。自分が打とうと思った。4勝するまで全力で頑張る」

 10年までの10年間、横浜スタジアムを本拠地としてきた。試合前の選手紹介。内川の名前が呼ばれ、登場した際には相手ファンの一部からブーイングが起こった。大分出身の35歳。横浜から地元九州のソフトバンクへFA移籍し、11年の交流戦も古巣から大ブーイングを浴びた。当時は「(打席で)難しく考えすぎた」と心を乱されたこともある。

 ただ、この日はにやりと笑う余裕があった。6回無死では中前打し、マルチ安打。1点差まで追い上げられた7回にはベンチ前で円陣をつくった。「(6回のピンチは)森がしのいでくれた。あとはこのまましのいで、3イニング頑張ろう!」。追いすがる相手を突き放す言葉を並べた。

 CSファイナルSは自身3度目のMVPを獲得も、日本シリーズではここまで打点なし。それでも「打てなくてもチームが勝てば救われる」と言った。4番と主将を任された15年シーズンは精神的負担が増え、打率・284で連続打率3割記録は7年で止まった。ただ、苦しみもがいた福岡での7年間がこの男をまた、強くした。

 シーズンは先制すれば73勝9敗の勝率・890。圧倒的な数字を支えるのはチームの中心に座るこの男の存在も大きい。「よく、内川君が逆方向へ打ってくれた」と工藤監督。これで3連勝とし、05年ロッテ以来となる12年ぶりの4連勝での日本一も見えてきた。

 かつての声援はブーイングに変わったが、内川は言った。「どうでもいい。終わった後、考えればいいことだと思う。間違いないのは日本一に一歩、近づいたこと」。揺れることのない不動の心。これほど頼れる大黒柱は他にはいない。 (福浦 健太郎)

 ≪V確率82%≫ソフトバンクが3連勝で日本一へ王手をかけた。無傷の3連勝スタートは引き分けのあった75年阪急、86年広島を含め18度目。過去17チームのうち14チームが優勝しておりV確率は82%とソフトバンクが断然有利となった。なお無傷の4連勝でシリーズを制したのは05年ロッテまで延べ7チーム。引き分けなしの4戦4勝は5チーム。ソフトバンクが負けなし4連勝なら南海時代の59年以来58年ぶり2度目。西武が57年(当時西鉄)、90年と2度記録したのと並ぶ最多回数になるがどうか。

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