“フォークお化け”千賀 PS初勝利「やれること全てやった」

[ 2017年10月29日 06:30 ]

SMBC日本シリーズ第1戦   ソフトバンク10―1DeNA ( 2017年10月28日    ヤフオクD )

7回1失点と好投したソフトバンク先発・千賀
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 当てただけ。届くはずがない。3回2死一塁、筒香の打球はフェンス近くまで飛んだが、右翼・中村晃が足を止めてグラブに収めた。千賀の勝ちだった。

 3月のWBCを一緒に戦った侍ジャパンの4番と、ベストナイン投手の対決。内角高めにうまく入ったフォークで見逃しストライクを取り、2球目は真ん中付近に落ちてファウルを誘った。コースはともかく、抜けはいい。3球目、外寄りのフォークで仕留めた。

 この回は18球中8球がフォーク。3アウト全てを「お化け」と形容される得意球で奪った。大事な初戦を任され「力んでいった」という初回は柴田、筒香に四球。3点先行で勢いに乗った。相手に幻影を抱かせると、4回以降は57球でフォークは6球しか必要なかった。7回4安打1失点。甲斐と日本シリーズ史上初の育成ドラフト出身選手同士の先発バッテリーで勝ちきった。

 ポストシーズン8度目の登板で初白星。「短期決戦なので個人のことは関係ない。やれることは全てやった」と充実感を見せた。WBCで「準備を凄くする選手。だから打てる」と感銘を受けた筒香をはじめ、3〜5番を無安打斬り。「中軸は強力なので抑えられたのは大きい。あまり調子が良くない中で試合を壊さずホッとしている」と口にした。

 「やられたままは嫌なので」。6月4日の交流戦で対戦した際は8回途中5失点で黒星。実は抱えていた背中の左側の張りがピークに達し「ぼろぼろだった」という。違和感を引きずり、目が覚めた後、ベッドでストレッチをしないと起き上がれない日もあった。

 監督会議で予告先発なしと決まったにもかかわらず、試合前練習に現れた工藤監督は「先発の千賀君がポイント」と堂々と言った。勝率第1位投手への信頼の証だった。近づくハロウィーン。「お化け」を操る右腕が仕事を完遂した。

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2017年10月29日のニュース