筒香、下克上連発 首のヘルニア隠し…日本Sも「死ぬ気で4つ勝ちに」

[ 2017年10月25日 05:33 ]

セ・リーグCSファイナルS第5戦   DeNA9―3広島 ( 2017年10月24日    マツダ )

祝勝会で歓喜のビールかけを行う筒香
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 DeNAは9―3で広島を下し、アドバンテージを含めて4勝2敗とし、98年横浜時代以来となる19年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。4番・筒香嘉智外野手(25)が2点リードの5回に2試合連発となる2ランをバックスクリーンにマークし、7回にも2打席連続アーチ。ファイナルステージで敗退した昨季の悔しさを、14・5ゲーム差の3位からの下克上で晴らした。

 自らの合図で始まった歓喜のビール掛け。仲間から次々とビールを浴びせられる。筒香は人生で初めて勝利の美酒を全身で味わった。ゴーグル姿でも分かるほどの笑みだった。

 「全員で勝ち取った勝利。あと4試合勝つだけ。僕たちはファミリー。死ぬ気で4つ勝ちに行きましょう!」

 鮮やかな2本のアーチ。セ・リーグ史上初の3位からのファイナルS突破という劇的なシナリオを完結させたのは、4番のバットだった。2点リードの5回2死一塁。大瀬良の初球、146キロ直球をバックスクリーンに叩き込む。2試合連発の2ラン。7回無死では左中間に2打席連発のソロを放った。

 先発の石田が1回で降板。そんな左腕が悔しさを胸の奥にしまい込んで、ベンチで打者のバットを片付けるなど必死にチームをもり立てる姿を見た。「(石田)健大の姿を見て“本当にいいチームになってきているな”と感じた。熱くなるものがあった」。だからこそ、主将としてその思いをバットで体現した。

 苦しい8年目のシーズンだった。満身創痍(そうい)で戦い続けた。昨季は44本塁打&110打点で2冠王。しかし今季は3月のWBC出場の影響もあり、序盤から打撃に苦しんだ。そして、6月。試合後に球場を後にする廊下で、顔をしかめながら歩く筒香の姿があった。

 首のヘルニアを発症。スイングするたびに激痛が体を走る。「マジでやばい」。食事のために体を傾けることすら簡単ではない。それでもグラウンドでは、何事もないような平気な顔をし続けた。試合に出続け、主砲としての責任を果たすため、最後まで隠し通した。

 一時は打率2割5分台に低迷。周囲からは「スイングがいつもと違う」と言われた。横浜市内の治療院に向かう日々。シーズン成績は28本塁打、94打点。侍ジャパンの4番にすれば、物足りないかもしれない。それでも、数字だけでは測れない価値のある成績だ。

 「横浜に帰るという目標を達成できた。次は日本一という目標を達成したい」。最大14・5ゲーム差からの、19年ぶり3度目となる日本シリーズの舞台。次のターゲットは日本一。それまで全力でチームを引っ張り続ける。 (中村 文香)

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