コーン氏語るマー君の凄みとは 精神的タフさとチーム第一主義

[ 2017年10月23日 10:20 ]

ヤンキース・田中将大
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 ヤンキースはア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦で敗れ、田中の17年シーズンも終わりを告げた。ポストシーズンでは3試合20イニングを投げて2失点、防御率0・90と相手を圧倒。現役時代に通算194勝を挙げたヤ軍OBで、現在はヤ軍の専門テレビ局「YES」の解説者を務めるデービッド・コーン氏に、その凄さを聞いてみた。

 田中と同じ右投手で99年7月には完全試合を達成。ワールドシリーズ制覇はヤ軍での4回を含めて通算5回経験しているコーン氏は、背番号19の10月の投球を「ファンタスティック。私から見れば、世界でトップの投手の一人。彼が健康で本来の投球をすれば、誰よりもいい投球をする」と絶賛した。

 10月に最高のパフォーマンスを出すために必要なのは「endurance(我慢強さ、耐久力)」と彼は言う。「ポストシーズンまでいくと、とても長い。特に投手にとっては。肉体的負担に耐える強さが必要になる」。レギュラーシーズンを戦い抜いた後だけに、健康な状態を維持するのがより難しい。田中はレギュラーシーズンと合わせ33試合、198回1/3に登板。ポストシーズンでは登板間のブルペン投球を行わないなど調整を工夫して負担を軽減した。

 ヤ軍では8年前の09年、松井秀喜がワールドシリーズMVPを獲得した。日本が生んだ投打の「ミスター・オクトーバー」に共通する部分は、と聞くと「2人も精神的にタフ。また、チームを第一に考えて個人は二の次というメンタリティーがある」と評した。09年の松井はシーズン序盤に手術明けの膝の状態が安定せず苦しんだ。今季の田中は過去にない不振に悩まされた。いずれも困難を乗り越え、ポストシーズンに最高の結果を出した。

 田中のワールドシリーズ進出、そして世界一という目標は、来季以降に持ち越された。それを成し遂げるためのコーン氏のアドバイスは――。

 「自分らしくあること。自分自身、自分の仕事、自分の準備を信じること。そうすれば本来持っているものが出せるはず」

 不振を乗り越えた今季終盤、田中自身も同様のことを語っていた。1年後、頂上決戦のマウンドに立っている姿を楽しみにしたい。(記者コラム・大林 幹雄)

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