【伊東勤氏が分析】楽天、同点の8回は5連投福山より則本続投だった

[ 2017年10月21日 08:58 ]

パ・リーグCSファイナルS第3戦   楽天5―7ソフトバンク ( 2017年10月20日    ヤフオクドーム )

8回2死一塁、中村晃に2ランを浴びる福山
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 今季までロッテの監督を5年間務めた伊東勤氏(54)が、パ・リーグのCSファイナルS第3戦を分析した。両チームの戦いぶりを間近で見てきた知将が、勝敗のポイントとしたのは、4回から調子を上げていた楽天・則本を7回で代えたこと。監督として先発の代え時が難しい試合だったと指摘した。

◆先発の代え時が難しい試合展開◆

 勝負のあやは、楽天が8回から則本に代えて、福山を起用したことにあったと思う。7回終了時で108球。則本は130、140球でも投げられるタフな投手だ。福山はファーストSから5連投となる。リードした展開なら当然、福山だが、同点なら則本をもう1イニング投げさせる手もあったのではないか。

 というのも、則本は4回からガラッと変わっていた。この試合、バッテリーを組んだのは、正捕手の嶋ではなく、足立。ファーストS初戦で西武に打ち込まれたので、梨田監督は捕手を代えることで悪い流れを変えようとしたのだろう。ただ、短期決戦で初めてマスクをかぶる捕手の重圧は相当なもので、どうしても序盤は手探りの配球となる。さらに初回2死一塁で松田に厳しい内角直球を適時二塁打されたことで、変化球が多くなった。

 だが、3回に内川に初球カーブを3ランされ、4回から本来のスタイルに立ち返った。直球中心で、追い込んでからはフォーク。打者14人に1安打で9奪三振と、ソフトバンク打線を圧倒していた。

 則本が3回に3―5と逆転を許した時点で、楽天ベンチは「この試合は福山を休ませることができるかも」と思ったのではないか。それが5回にアマダーの2ランで同点。一気に勝ち越していたら、継投もすんなり行くが、同点止まりで、ましてや調子を上げているエースが投げている。監督の立場で見ても、先発の代え時が難しい試合展開だった。

 打った中村晃は見事だった。それまで11打数2安打5三振。彼はリーグで最も三振しない打者なのに、ボール球を振る場面が目立っていた。それが、外角のシュートを読んでいたように踏み込んで引っ張った。何とかしようという気持ちを体で表現した打撃だった。

 ソフトバンクにとっては大きな1勝。一方、楽天は頼みの綱である福山を連投させての1敗だけに、第4戦以降の戦いにも響きそうだ。 (前ロッテ監督)

 ◆伊東 勤(いとう・つとむ)1962年(昭37)8月29日、熊本県生まれの55歳。81年ドラフト1位で西武入団。正捕手として黄金期を支え、ゴールデングラブ賞11度。03年に現役引退。04年に西武の監督に就任し、1年目に日本一。07年の退任後は09年WBCの侍ジャパン総合コーチなどを務め、13年から今季までロッテ監督。今年、野球殿堂入りを果たした。

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2017年10月21日のニュース