阪神・安藤“憧れ”甲子園で現役に幕…虎一筋16年「私は幸せ者」

[ 2017年10月11日 05:50 ]

セ・リーグ   阪神6―1中日 ( 2017年10月10日    甲子園 )

胴上げされる安藤
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 長い旅が終わった。生命線の制球力を頼りに、狭いゾーンの四隅に投げ込む。肉体を酷使し、神経をすり減らした日々に阪神・安藤は別れを告げた。最後のマウンドはもちろん憧れの甲子園。戦友たちの手で5回宙に舞うと、人柄そのままの柔和な笑顔でファンと握手しながら球場を一周した。

 「02年の4月14日、子どものころから憧れていた甲子園で初めて投げた時の感動、興奮は今でも鮮明に覚えています。あれから16年、良い思い出、悪い思い出、悔しい思い出もありますが、今思えばあっという間の16年間。憧れの甲子園が仕事場となり、その甲子園でユニホームを脱げる私は幸せ者です」

 甲子園を愛し、愛された。野球では無名の大分雄城台高から「記念で受けた」という法大にまさかの合格。トヨタ自動車でもコツコツと実力を磨き、01年の自由獲得枠で阪神入団して聖地にたどり着いた。虎一筋、背番号と同じ16年間。「日本一、いや世界一だと思う」というファンの声援を全身に浴びながら夢の舞台を去った。

 引退登板は6―0の8回。金本監督が直々にマウンドに足を運び、肩をポンとたたかれた。いきなり石川に左越えソロを浴びたものの、続く野本の痛烈な三ゴロを同じく引退する新井が見事にさばいて役目を終えた。

 「プロに入って試合で楽しむということはなかったけど、投球練習でマウンドに上がった時から1球、1球が楽しかった。あんなに楽しいマウンドは初めてだった」

 被弾には「やっぱり打たれると悔しい」と苦笑いも、涙はなし。客席には家族、知人の他、青柳ら2軍選手も駆けつけていた。監督、選手、スタッフ、家族、友人、そしてファン…。全ての人へ感謝を口にし、スッキリした表情を浮かべた。今後は何らかの形でチームに残ることが濃厚ながら、まずは「正直、ゆっくりしたい」。日本一の思いを託し、心優しき虎戦士がそっとグラブを置いた。 (山添 晴治)

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2017年10月11日のニュース