栗山監督ホッ 大谷の日本ラスト登板「怖くて仕方なかった」

[ 2017年10月5日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム3―0オリックス ( 2017年10月4日    札幌ドーム )

<日・オ>試合後、栗山監督(左)とハイタッチする大谷
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 少しだけ、肩の荷が下りたのかもしれない。怖さばかりだった5年間。大谷の日本ラスト登板を目に焼き付けた日本ハム・栗山監督は「今日も怖くて仕方なかった。少しだけホッとしたかな。(精神的に)いっぱい、いっぱいでした」と本音を吐露した。

 初起用の「4番・投手」。「ずっと前からイメージしていた」が9月29日の楽天戦の走塁で左膝を軽く打撲したこともあり、直前までコンディションを見極めた。まるで漫画のような、北海道の子供たちに夢を与えるサプライズ起用。大谷も完封&1安打で応えた。

 就任1年目だった12年ドラフトでメジャー挑戦を希望していた大谷を強行指名。自らも花巻東に足を運び、熱意を伝えた。晴れて入団が決まり、球界の常識を覆す「二刀流」を完成させるため、二人三脚がスタートした。

 目標はあくまでも「世界一の選手」。15年5月22日のソフトバンク戦で6回2/3を5失点だった大谷から試合後にメールが届いた。「取り返したいので、明日、野手で出場させてください」。登板から「中0日」の野手起用はご法度。もちろん拒否した。だが翌日、球場で打撃練習する姿を発見。監督室で「気持ちは分かるけどやめろ!“誰もが行かない道を歩く”と決めただろ!」と叱りつけた。

 今季、コンディションが万全でない時期に全力疾走を禁止したのも「世界一」を念頭に置いた苦渋の決断だった。負担の大きい二刀流に常につきまとう故障のリスク。「メジャーに行っても引退するまで自分に責任はある」とまで覚悟を決めて向き合った。ひとつの節目を迎え「(大谷の)楽しそうに、必死にプレーする感じが大好き」と珍しく褒めた。

 日本一連覇はならず、本拠最終戦セレモニーでは目に涙を浮かべて「今年の悔しさを決して忘れず、全力を尽くしてやります」と誓った。大谷に負けない選手を育て、必ずやり返す。 (山田 忠範)

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