【キヨシスタイル】育成の邪魔してきた「常勝巨人軍」の看板外せ

[ 2017年10月3日 09:00 ]

CS進出を逃しファンにあいさつし、一礼する巨人・高橋監督
Photo By スポニチ

 巨人が初めてCS進出を逃した。5月から6月にかけて球団ワーストの13連敗を記録しながら最後まで3位争い。由伸監督はよくやったと思うよ。

 大金を使って獲った陽岱鋼(ヨウダイカン)、山口俊、森福のFA3選手、トレードで獲得した吉川光が額面通りの仕事をしていたら、優勝争いしたはずだ。

 でも、補強選手がコケたら皆コケたという結果。その現実がメッセージを送っているような気がする。「巨人は今こそ原点回帰、何年か先を見据えた生え抜き中心のチームづくりにかじを切るべきだ」と。

 今季の巨人を見ていて一番残念だったのは若手にひたむきさが感じられなかったことだ。FA選手の故障でチャンスをもらったら、前のめりになってアピールしてほしいのに「どうせ僕ら2軍ですから」みたいな感じで淡々とプレー。誰よりも覇気があったのは日本ハムからトレードで来た石川だった。

 常に優勝を求められる球団。毎年補強を繰り返し、それなりの結果を残してきた。その裏で、レギュラーに手が届くところまで来ていながら、FA選手にポジションを持っていかれた選手も少なくない。それがモチベーションを奪い、若い芽を摘んできたのは否定できない。

 若手は出番を与えなきゃ育たない。私が代表選手だ。駒大から入団して3年間は2軍。長嶋監督に何度もチャンスをもらったおかげで1軍に定着し、7年連続でゴールデングラブ賞を頂ける選手になれた。

 私のような下手くそでもそうだったのだから、使えば光る若手はいる。例えば宇佐見だ。魅力的な打撃。捕手からコンバートして一塁に固定し、慎之助を代打の切り札に回すくらい大胆な策を期待したい。

 育成の邪魔をしてきた「常勝巨人軍」の看板は倉庫に預け、来年は徹底的に若手を鍛える土台づくりの年にしてほしい。優勝は遠のくかもしれないけど、鹿取GMがチーム強化のビジョンを明確に示せば、ファンは理解してくれるはずだ。

 松井秀喜、由伸、慎之助に続く生え抜きの4番打者が育ち、元気はつらつとしたチームになったとき…。「常勝…」の看板は自然と戻ってくる。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

続きを表示

2017年10月3日のニュース