ある時は競輪場まで…突撃取材にも嫌な顔をしなかった伊東監督

[ 2017年10月1日 10:40 ]

9月26日のソフトバンク戦の試合後、花束を手にファンの声援に応えるロッテ・伊東監督
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 ロッテ・伊東勤監督が今季限りで退任する。今季最終戦は10日の楽天戦(ZOZOマリン)。きっと、いつものように試合前の練習後には「何かある?」と言って、記者の質問に丁寧に答えてくれるのだろう。

 もう8年も前になる。09年の第2回WBC。確か年が明けた1月だった。日本代表のヘッドコーチに就任した伊東監督の都内の自宅にお邪魔した。突然の訪問にも嫌な顔をせず上げてくれて、WBCに向けた話をいろいろと聞いた。「目指すは連覇。世界一になりたいね」。そう言っていた。願いは叶った。連覇を達成した翌日の記者会見で「また、(指導者として)ユニホームを着たい」と話していたのが印象的だった。5年後の13年、伊東監督はロッテの指揮官になった。

 あれこれと追っかけ回した。記者が西武担当だった01年オフ、伊東監督は球団から監督就任要請を受けた。最終的には固辞して現役を続行、コーチ兼任となるのだが、この時期も毎日のように自宅に足を運んだ。ある時は早朝から車で待って、伊東監督の出発に合わせて後をついて行ったことがある。「球団幹部と会うのでは!」。しかし、向かった先はお子さんの学校。送っていっただけだった。後部座席からこちらの車に向かってお子さんに手を振られ、思わず笑ってしまったのを覚えている。今ではあまりない取材手法かもしれない。

 またある日、自宅に行ったら不在。「どこだろう…」と考えたらひらめいた。伊東監督は競輪が趣味で、実は記者も大の競輪好き。急いである競輪場に行くと、いた。そのまま一緒に車券を買い、終わった後に駐車場までついていって話を聞いた。西武の黄金時代の要だった男は、ここでも嫌な顔をせず取材に応じてくれた。ちなみに記者は車券は大惨敗だった。

 試合前。伊東監督はその日の打順や故障の選手の状態、はたまた野球とはあまり関係のない四方山話…と毎日、記者の質問に丁寧に答えてくれた。ユニホームを脱ぐまで、その姿は変わらないと思う。記者は球場以外でもお世話になった。伊東監督、本当にお疲れ様でした。(鈴木 勝巳)

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2017年10月1日のニュース