ブルペン捕手の見たダル 学ぶ姿勢に驚き「他人に興味、自分でもやる」

[ 2017年9月27日 06:20 ]

ナ・リーグ   ドジャース9―3パドレス ( 2017年9月25日    ロサンゼルス )

フリッポ・ブルペン捕手
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 ドジャースのダルビッシュは25日(日本時間26日)、パドレス戦で3年ぶりの2桁勝利となる10勝目を挙げた。ド軍でブルペン捕手16年目のロブ・フリッポさんが、ダルビッシュについて語った。野茂英雄の時代から数多くの名投手に接してきた名物ブルペン捕手は、右腕のプロの流儀に感心する。

 「野茂英雄とクレイトン・カーショーは似ている。登板間の日々のルーティンも、ブルペンの投球練習で何を投げるかも、いつも一定。絶対に変えないで同じことをやり続ける。一方、ダルビッシュは他の人のやっていることにとても興味があり、自分でも試してみる」。

 ド軍移籍後、早速チームメートとなった柳賢振にチェンジアップの投げ方を教わったり、カーショーのトレーニングを観察し意見交換したり、トップクラスの投手でここまで学ぶ姿勢が旺盛な選手はまれだ。フリッポ氏は「既にあれだけの成功を成し遂げてきたのに、さらにもっと良くなろうとする。凄いことだと思う」と舌を巻く。常に最高のものを求めてフォームや配球を工夫する飽くなき探求心こそがダルビッシュの持ち味。彼ならではの成功につながっている。

 登板日、直前のブルペンでの投球練習は、試合に出場する捕手が受ける。フリッポさんの役割は「スタンドイン」つまり打席に立つ「打者役」だ。「打者役」が立つまでは、投手が球種を合図してから投げるが、「スタンドイン」が入ると、実戦モードで捕手がサインを出す。打者にしてみれば、どんな球が来るか分からない。

 「正直に打ち明けると、怖いんだ。ダルビッシュの球はパワフルで、プレートを通過するときも凄い勢い。どの球種も一級品だから、カッターなのか、ツーシームなのか。どっちに曲がるかは直前まで分からない。生きた心地がしないから、捕手がサインを出すときにこっそりのぞき見している。試合で相手打者がヒットを打つと、よく打てるなと感心するくらいなんだ」。

 フリッポさんはカリフォルニア州北部の出身。子供の頃は元ヤンキースの名捕手サーマン・マンソンに憧れた。パシフィック大を経て、ドジャース傘下のマイナーで89年にプレー。プロ選手生活は短かったが、6年間の大学コーチ経験を経て、02年に再びド軍に復帰、以後、長く名門球団の裏方を務めてきた。

 柔和な人柄で、言葉の壁を越え、日本投手たちを温かく支えてきた。石井一久、黒田博樹らは感謝の気持ちを込め、キャッチャーミットをプレゼントした。

 「ド軍の日本人選手たちに共通していると思うのは、野球という競技に敬意を払っていること。自分だけ目立とうとはしないし、常に良いチームメートであろうとする。プロとして毎日しっかり準備をし、自分の役割をしっかり果たす」。

 ド軍の日本投手はほかにも木田優夫、斎藤隆、前田健太がいる。球団の日本投手通算202勝165敗。メジャー30球団で日本人が最も活躍した球団の一つなのは間違いない。(奥田秀樹通信員)

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