巨人・マギー 頼れるクラッチヒッター

[ 2017年9月12日 10:30 ]

巨人・マギー
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 【宮入徹の記録の風景】存在感は増すばかりだ。巨人のマギー内野手(34)は10日現在、打率・322でセ・リーグトップ。もし首位打者を獲得すれば、巨人の外国人選手では54、56、57年与那嶺要、89年クロマティ、09年ラミレスに次いで4人目(6度目)の快挙になる。マギーは13年に楽天で1年間プレー。ジョーンズとの強力コンビで球団史上初の日本一に大きく貢献したことは記憶に新しい。

 今季は4年ぶりの日本球界復帰となったが、前半戦は284打数84安打、打率・296。それが後半戦は176打数64安打、打率・364と急上昇。巨人のクライマックスシリーズ進出に欠かせない戦力となっている。楽天時代の成績はチーム全試合の144試合に出場し、513打数150安打、打率・292(12位)、28本塁打、93打点。今季は既に148安打をマークし150安打にあと2本。

 過去に来日1年目に150安打以上を放ち、2球団目に移った1年目でも150安打以上を記録した外国人選手は少なく、パチョレック(88年大洋165本、92年阪神159本)、シーツ(03年広島161本、05年阪神162本)、ブランコ(09年中日151本、13年DeNA161本)と3人。ただし、この3人は全て同一リーグの2球団で達成したもの。両リーグの球団でそれぞれ1年目に150安打以上なら初めて。マギーの順応力の高さを示している。さらに得点圏打率も・358でセのトップ。60年以降、巨人の外国人選手で得点圏打率がリーグ1位はおらず、マギーが今の順位を維持すれば初めてになる。

 9月2日のDeNA戦では今季41本目の二塁打をマーク。54年与那嶺のシーズン最多二塁打40の球団記録を63年ぶりに更新した。シーズン最多二塁打のプロ野球記録は01年オリックス・谷佳知の52本。セ・リーグ記録は06年中日・福留の47本となっている。マギーは10日現在で44本。巨人は17試合を残しており、記録更新の期待が高まる。

 今季のマギーは開幕からほぼ2カ月間は先発5番三塁手として出場した。その後、4番、3番を務め、7月からは2番二塁手として定着。打順、守備位置とも変わったにもかかわらず結果を残し、柔軟に対応している。ここまで5番の先発出場が最も多く50試合あり2番は45試合。もしこのまま2番に座り続けると5番を上回る。シーズン最多打順が2番で首位打者を獲得した外国人選手は79年大洋のミヤーンだけ。マギーが手にすれば38年ぶり2人目だから珍しい。

 ところで、プロ野球の首位打者第1号は36年秋に名古屋の中根之(なかね・すすむ)が獲得している。25試合に出場し、93打数35安打、打率・376。試合数は少ないものの1リーグ時代の首位打者の中では最も高い数字を残した。このシーズンの中根は19試合が先発2番。つまり初代首位打者は2番打者によって記録されたわけだ。

 中根の試合ごとの打撃結果を見ると無安打に終わったのはわずか4試合。2試合連続無安打は0と安定した打撃ぶりが伺える。ただ、巨人の沢村栄治とは7打席対戦して5三振、内野ゴロ2本の7打数無安打とまるで歯が立たなかった。もし、沢村との対戦がなければ、打率は・407までアップ。「首位打者第1号が4割バッター」は伝説の大投手を攻略できずに幻に終わった。 (専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。本社制定の最優秀バッテリー賞の選考委員会には、1回目の91年から26回連続で資料説明役として出席。

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