イチロー 王超えの思い「僕にとって特別な人。王監督の記録のみが特別と言えるかも」

[ 2017年9月8日 05:30 ]

ナ・リーグ   マーリンズ1―8ナショナルズ ( 2017年9月6日    マイアミ )

<マーリンズ・ナショナルズ>5回、日米通算5863塁打となる中前打で出塁し、後続の安打で二塁に向かうイチロー(AP)
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 マーリンズのイチロー外野手(43)は6日(日本時間7日)、ナショナルズ戦の5回に代打で中前打を放ち、日米通算5863塁打(日本1889、米国3974)とし、王貞治氏(現ソフトバンク球団会長)のプロ野球記録を超えた。イチローは野球人として、人間として、特別な存在である恩師に対する深い思いを口にした。

 一振りで決めた。イチローは5回、代打で打席に入ると、左腕ゴンザレスの両サイドを駆使した投球を5球連続で見送った。6球目。フルカウントから投じた89マイル(約143キロ)の直球に初めてバットを振った。打球は快音を残し中前へ。5863塁打とし、王貞治の持つプロ野球記録を37年ぶりに上回った。

 塁打に対する思いは「全くない」。だが、06年の第1回WBCで世界一を勝ち取った王監督への思いは次々とあふれ出た。

 「監督の記録が特別なのは、監督が僕にとって特別な人であるから。王監督の記録のみが特別とも言えるかもしれないですね」

 言葉をかみしめるように続けた。

 「おかしなことはできないと思いますね、抽象的ですけど。王監督の記録とか王監督と何かを比べてもらえることで、そういう感情が僕の中で一番強く生まれる」

 常に冷静な一方で、野球への情熱は人一倍。日々の生活から自らを律し、準備に最善を尽くす姿…。記録だけでなく、野球人として、人として、イチローにとって、「監督」と呼ぶ王氏は別格だ。日本球界の顔であり続ける「王貞治」の記録と数字が交錯するたびに自分を見つめる。「(自らも)そうしているつもりですけれど。そういうことを改めて思い起こさせてくれるという感じではある」と静かに言った。

 この日の代打でシーズン代打打席94のメジャー記録に並んだ。シーズン代打安打数でもジョン・バンダーウォールが95年にマークしたメジャー記録28本にあと3と迫った。残り23試合。また新記録が目の前に迫る。

 この日の中前打を「頭を使うから面白い。ただ投げて、ただ振ってでは意味がない」と振り返った。代打という役割になっても、野球への思いは不変だ。王監督がそうであったように。だから、43歳の現役最年長野手になっても、イチローは輝ける。(マイアミ・笹田 幸嗣通信員)

 ≪米でも歴代5位に相当≫イチローの日米通算5863塁打は、メジャーでも歴代5位に相当する。イチローの上をいく選手の本塁打数を見ると、1位アーロンは755本塁打、2位ミュージアル475本、3位メイズ660本、4位ボンズ762本。長距離砲が上位を占めるだけに、通算235本塁打のイチローの特異性が分かる。

 ≪総距離160・8キロ 山手線4・6周分≫イチローの5863塁打は、合計でベース1465周プラス三塁まで到達した距離になる。ベース一周は単純計算で約109・7メートル。その総距離は約160・8キロにもなる。1周約34・5キロという東京の山手線でいえば、4・6周。また、琵琶湖では琵琶湖大橋以北の「北湖」一周が約160キロ。兵庫県淡路島の外周道路一周分の約150キロよりも長い計算だ。東京駅から西に向かった場合は、直線距離で静岡県焼津市まで到達する。

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