イチロー 王氏に並びうれしそうなワケ 過去に語った特別な思い

[ 2017年9月6日 05:30 ]

ナ・リーグ   マーリンズ2―7ナショナルズ ( 2017年9月4日    マイアミ )

<マーリンズ・ナショナルズ>7回、代打で中前打を放つイチロー(AP)
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 マーリンズのイチロー外野手(43)は4日(日本時間5日)、ナショナルズ戦の7回に代打で中前打を放った。日米通算5862塁打(日本1889、米国3973)とし、王貞治(巨人、現ソフトバンク球団会長)のプロ野球記録に並んだ。「世界の安打製造機」が「日本の本塁打王」に肩を並べる金字塔。メジャーでは大リーグ公式サイトによると歴代5位に相当する。

 恩師に通算塁打数で並び立つ一打は、イチローらしい中前へのクリーンヒットだった。7回、救援右腕キンツラーに2ストライクと追い込まれながら93マイル(約150キロ)の外角ツーシームを打ち返した。王氏に塁打数で並んだことは知らなかったが、試合後に関係者から聞かされるとうれしそうに笑った。

 王氏とは優勝した06年の第1回WBCで指揮官と選手としてともに戦い、尊敬の念を抱き続けている。1週間前の「プレーヤーズ・ウイークエンド」でも、感謝する相手を書き込むユニホームの右袖に「おうかんとく」と暗号風に記した。15年4月25日に王氏の日本記録1967得点を日米 通算で超えた際には格別の思いを口にした。「他の人の記録には全然興味ないですけれど、王監督の記録はどの記録も特別なので、ただただ光栄です」。“特別”の理由は「人としての出来が違うということですよ。監督については揺るぎない点で僕の中には植え付けられていますね」と最敬礼していた。

 今でもイチローは必ず「王監督」と呼ぶ。「監督」と呼ぶのは、メジャーに送り出してくれた元オリックス監督の故・仰木彬氏と王氏の2人だけ。そんなイチローを現指揮官のドン・マッティングリー監督は「素晴らしい選手。野球に敬意を払い、野球をとても大切にしている。そんな姿勢は周囲の者にその大事さを改めて思い起こさせる」と称賛する。

 今季は代打中心の起用ながら渋く活躍しており、シーズン最多代打安打で95年のジョン・バンダーウォールの28にあと4本に迫った。「50歳まで現役」を目標に掲げる現役最年長野手。どんな役回りになっても記録ラッシュは付きものである。(マイアミ・笹田 幸嗣通信員)

 ◆塁打 トータルベーシズ(Total Bases)を訳した野球用語。安打で奪ったベースの数の合計で単打は1、二塁打は2、三塁打は3、本塁打は4で計算する。従って、通算塁打数の上位は自然と長打力のある選手がほとんどを占める。ただし、イチローのように極端に打率が高い打者や二、三塁打が多い中距離ヒッターでもまれに上位にランクインすることがある。

 ≪メジャー歴代5位≫通算塁打記録には諸説あり、大リーグ公式サイトでは歴代2位の通算4191安打を放ったタイ・カッブは5859塁打でイチローを下回る。ただ、記録専門会社「エライアス」によると、イチローと同じでア・リーグ最多の5862塁打とされている。日本選手上位6人の中で、通算500本塁打を達成していないのは235本塁打のイチローだけ。

 ≪代打92打席は最多にあと2≫イチローは今季6月14日のアスレチックス戦でインターリーグ通算365安打をマークしデレク・ジーターの持つメジャー記録を更新。今月3日のフィリーズ戦では日米通算試合数でメジャー最多のピート・ローズを上回る3563試合を達成。なおシーズン代打92打席はメジャー記録94にあと2。

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