マー、ダル超え日本人最速50勝 逆転地区VへRソックス圧投

[ 2017年9月4日 05:30 ]

ア・リーグ   ヤンキース5―1レッドソックス ( 2017年9月2日    ニューヨーク )

レッドソックス戦に先発し、7回0/3を5安打1失点で11勝目を挙げたヤンキース・田中(AP)
Photo By AP

 ヤンキースの田中将大投手(28)が2日(日本時間3日)、地区首位のレッドソックス戦に先発し、7回0/3を5安打1失点で11勝目(10敗)を挙げた。メジャー通算50勝目を101試合目でマークし、日本投手としてはダルビッシュの109試合を上回る最速達成となった。自身3連勝もマークし、逆転地区優勝に向けてエースが調子を上げてきた。

 マウンドを降りた田中は、満員4万6536人の拍手を浴びながらベンチへ戻った。最後は声援に応えるように、そっと帽子のひさしに触れた。7回0/3を5安打1失点。地区優勝を争う首位レ軍との絶対に負けられない直接対決で、4・5ゲーム差とした。

 「特別調子のいい球もなかった中で、コース、高さを意識して投げきることができたのは大きかった。一番大事なのはロケーション(制球)。そこを重視して投げていた」。1点リードの6回、自身の暴投で一時同点とされたが、その裏の攻撃でホリデーの勝ち越し3ランが飛び出した。

 右腕の絶妙なアクセントとなったのが「スプリットチェンジ」だ。7回にブラッドリーを二ゴロに封じ、最後のアウトを取った84マイル(約135キロ)も、この球だった。楽天時代から持っていたが、この日は要所で効果的に使う場面が目立った。

 通常のスプリットは87〜88マイル(約140〜142キロ)だが、それよりも3〜4マイル(約5〜6キロ)遅く、軌道はチェンジアップに近い。左打者には外角に逃げる軌道で、右打者にも内外角へ配した。かねて「“抜き球”を左打者にしか投げないような風潮はありますが、僕は日本時代からそういう偏った考えはない」と話す。スプリットの中でも異なる軌道と球速差を求め、「奥行き」を広げた。

 101試合目でメジャー通算50勝に到達。日本投手ではダルビッシュを超える最速だが、感想を求められると「うーん」と少し間を置いて「まあ遅かったですね」と話した。そこには周囲との比較でなく「よくない投球が続いた時期があったから」と今季の前半戦不調への反省が込められている。あくなき探究心とチームへの責任感が、ここまで積み重ねた白星につながった。(ニューヨーク・大林 幹雄)

 ≪カーショーに次いで現役2位の勝率・658≫田中は米4年目101試合で50勝を挙げたが、アジア出身の選手ではヤ軍の王建民(ワンチェンミン)が4年目の08年に87試合で達成している。また、通算50勝以上で今季メジャーでプレーした現役投手の中で田中は、勝率.658(50勝26敗)と高く、カーショー(ドジャース)の.696(142勝62敗)に次ぐ2位を誇る。

続きを表示

2017年9月4日のニュース