阪神・藤浪 死球きっかけに崩れた「まだまだだと思う」

[ 2017年8月28日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神0―6巨人 ( 2017年8月27日    東京ドーム )

<巨・神>7回、降板した藤浪はベンチで必死に声援を送る
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 手にした確かな手応えよりも、阪神・藤浪が口にしたのは、マウンドを守る者としての譲れないプライドだった。

 「本当は良いピッチングと言いたいところなんですが、7回をしっかり粘らないと勝てない。ああいう苦しいところで粘ってこそだと思う。あそこで替えられているようじゃ、まだまだだと思う」

 0―0の7回、1死から村田への変化球がすっぽ抜ける死球から崩れた。代走重信に二盗を許し、亀井に右中間突破の適時二塁打を浴び先制点を奪われた。長野との勝負を避け3ボールから外角に外した球が中に入り、大きく外して構えていた捕手坂本も取れず暴投に。長野四球で一、三塁としたところで降板を告げられると、顔をゆがめ、悔しさを露わにした。降板後、ベンチの最前列に立ち中継ぎ陣に必死に声援を送ったが、この回6失点で勝敗は決し、悔しさが募った。

 「ボールのタッチも、感じも良かった」と振り返ったように、苦悩し続けてきた男は、輝きを取り戻しつつある。初回、先頭の陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)には3球勝負を挑み外角への159キロ直球で見逃し三振。1死一塁から坂本もカットボールで空を切らせるなど、2安打を浴びながらも無失点で切り抜けリズムをつかんだ。

 4回は先頭・坂本に四球を与えるなど1死三塁とされたが村田、亀井を連続三振。2回から6回までは無安打に封じ込め、巨人・畠と息詰まる投手戦を展開した。

 2カ月に及ぶ2軍での再調整から復帰登板となった16日の広島戦は4回2/37安打3失点。7四死球と課題の制球も乱れ翌17日に出場選手登録を抹消された。10日間の調整期間では異例と言える中継ぎ登板を2度挟み、中2日で迎えた一戦。「(実戦を)多めに投げさせてもらったのが良かった」と6回1/3を投げ3安打9奪三振と本来の投球に近いものを体現した。金本監督も「6回までの姿を見ていると、ひと安心。次回もあります」と巻き返しに期待を寄せた。

 「チームは負けてますし、勝ちにつながる投球ではなかった。ああいうところ(7回のピンチ)でイニングを完了しないと」

 負けられない戦いが続く残り28試合。藤浪晋太郎の底力が、猛虎のミラクル劇へとつながるはずだ。(遠藤 礼)

 ≪死球与えた6人はすべて右打ち≫藤浪(神)は7回、村田の打席で今季6個目の死球。前回登板8月16日広島戦の2回大瀬良と4回の菊池以来で、与えた6人はすべて右打ち。5月20日のヤクルト戦から登板4試合連続黒星は、昨季7月1日の中日戦から29日の同カードにかけて喫して以来3度目の自己ワーストとなった。勝敗のつかない登板を挟んだ連敗のワーストは5があり、16年6月9日のロッテ戦から前回の4戦4敗を含む7試合で記録している。

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