広島・田中、値千金の初満弾 “本能の一撃”でM20

[ 2017年8月27日 09:10 ]

セ・リーグ   広島6―2中日 ( 2017年8月26日    マツダ )

2回裏2死満塁、田中の満塁本塁打に盛り上がる広島ナイン
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 ど派手な先制弾を放ったのは、広島が誇る不動のリードオフマンだった。2回、田中がプロ初の満塁弾。「好機だったので打てると思った球は手を出していった。満塁弾は今までも記憶にない」と値千金の一発を喜んだ。

 簡単な球ではなかった。膝元へ食い込むスライダーをうまくさばいて右翼ポール際へ。「いい感じに回転で打てたので、いつもは切れる打球が真っすぐ飛んでいった」と自賛する技ありの一打だ。

 昨季の13本に比べ、今季はまだ5本で「ずっと本塁打を我慢している」と言う。中堅から逆方向への打球を徹底しているからだ。昨季も開幕から同じ意識で臨んだが、強く打ちたい欲望が次第に頭をもたげ、方向転換。バットのヘッドを利かせる練習を取り入れた。自己最多の13本はその成果だが、打率・265には課題を残した。

 「去年は途中で飛ばしたくなったけど続けておけばよかったと思う。左方向に意識があれば四球もある。ただ、打席の中でメリハリはつけるつもり」。東海大相模時代は通算38本。一発を秘めるパンチ力はリードオフマンが持つ魅力の一つ。逆方向に意識があってもツボにはまると本能が目覚める。満塁弾は、その産物だった。

 リーグトップの29盗塁は既に昨季(28)を上回る。「うちには目立つ選手がたくさんいる」と強打者がそろう中軸の前で相手をかき回す黒子に徹してきた。ただし、塁が埋まっていれば話は別だ。今季満塁での打率は・385。自分が打たねば点が入らない状況では、頼もしいポイントゲッターとなる。リーグトップの90打点の鈴木が右足くるぶしの剥離骨折で離脱する中、勝負強さを発揮した。

 「戦力的には痛いけど、誠也がいてもいなくても変わらない。チーム力があるので、皆でカバーしたい」。今季初のお立ち台に上がった。「このままやらないで終わりたかった。あまり好きではないので」。慣れないスポットライトを浴び、苦笑いを浮かべた。

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2017年8月27日のニュース