前橋育英・皆川、今大会最速149キロ!完投目前降板も堂々1失点

[ 2017年8月17日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権大会第8日   前橋育英3―1明徳義塾 ( 2017年8月16日    甲子園 )

9回途中1失点の前橋育英の先発・皆川
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 2回戦4試合が行われ、4年ぶりの優勝を目指す前橋育英(群馬)はエース皆川喬涼(きょうすけ)投手(3年)が8回2/3を4安打6奪三振で1失点に抑え、強豪の明徳義塾(高知)を撃破した。今大会最速で自己最多タイの149キロを計測。親指付け根がつった影響であと1人で完封を逃したものの、荒井直樹監督の53歳の誕生日に白星を贈った。19日の3回戦では日本航空石川を破った花咲徳栄(埼玉)と激突する。

 中堅でゲームセットを迎えた皆川の顔には安どと悔しさが入り交じっていた。1点を失い、完封を逃した9回。右手親指の付け根がつって2死一塁で降板したが、53歳の誕生日を迎えた荒井監督に白星を贈った。

 「少し複雑。最後は勝利優先と思って降りた。監督さんの誕生日に勝てて良かった」

 全国屈指の「140キロカルテット」。丸山、吉沢、根岸は昨秋からそれぞれ背番号1を背負い、最後にエースナンバーをつけたのが皆川だ。1回戦の山梨学院戦でも先発したが4回3失点で早々に降板。「腹痛で。エアコンをつけたまま寝てしまった」と不覚のマウンドだったが、この日は見違えた。2回に今大会最速で自身最速タイの149キロを計測し、6三振を奪った。

 巨人・菅野も取り入れるトレーニングで球速をアップさせた。表面はゴムで砂が入った重さ3キロの「サンドボール」を握って落とす地道な動作を繰り返した。指先を強化したことで「指で押し込めるようになった」と群馬大会前の143キロから6キロも速くなった。ふくらはぎがつるのを防ぐため、軸足のかかとに重心を置いたことでフォームが安定したことも大きかった。エースに成長した皆川は「150にあと1キロ。何かが足りないということ」と貪欲だった。

 軟式出身ながら4年前に全国制覇した時のエース高橋光(現西武)に憧れ、前橋育英に進学。高橋光も2回戦で完封し、指揮官にバースデー勝利を贈ったが、皆川も「手を伸ばしても届かない存在」という先輩に続いた。

 「エースとしてとてもいいピッチング」と荒井監督。この日朝、3年生は寄せ書きした色紙を指揮官に贈った。皆川は感謝の言葉とともに「日本一長い夏にしましょう」と記した。 (松井 いつき)

 ☆皆川喬涼

 ☆生まれ&サイズ 1999年(平11)10月4日、群馬県館林市生まれの17歳。1メートル78、79キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 小1から美園小サンダースで野球を始める。館林四中では軟式野球部で投手と遊撃手。前橋育英では1年秋から外野手でベンチ入り。2年春から投手兼外野手。昨夏甲子園は背番号11で控え投手、今春のセンバツは背番号8で中堅のレギュラーで出場し、いずれも救援で1試合に登板した。

 ☆好きな言葉 「準備」

 ☆将来の夢 プロ野球選手。

 ☆身体能力 50メートル走は6秒0で、遠投は110メートル。スクワットは280キロを持ち上げる。高校通算14本塁打。

 ☆家族 両親と兄、弟。

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