仙台育英・鈴木 15年準Vアルプスで見届けた「兄の分まで」

[ 2017年8月13日 09:15 ]

第99回全国高校野球選手権第5日・1回戦   仙台育英15―3滝川西 ( 2017年8月12日    甲子園 )

<滝川西・仙台育英>2安打を放ち勝利に貢献した仙台育英・鈴木
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 ◆100回大会の主役たち

 仙台育英は初回、1ボールの2球目を叩いた先頭・西巻が右飛に倒れた。2番の鈴木は初球攻撃。右中間へ二塁打を放った。続く山田が1ボールから2球目に2ラン。5球での先制点を呼んだ2年生は「先生(佐々木監督)からは(西巻)賢二さんと“ダブルトップバッター”と呼ばれている。賢二さんが出られなくても、僕が打つ」と胸を張った。

 岩手県大船渡市の生まれ。東日本大震災で実家は被災を免れたが、父の漁業の道具が津波で流された。2歳上の兄・順平さんは進学予定だった中学の校庭に仮設住宅が建ち、仙台育英学園が運営する秀光中教校に進路を変えて野球を続けた。父はタンカーで調理の仕事をして学費を工面。鈴木も中学、高校と兄の背中を追った。

 兄は準優勝した15年夏の甲子園でメンバーには入れなかった。グラブを託されて春夏連続の聖地に立ち、勝った。「兄の分まで、という思いは強かった。良いところで打てて良かった」と笑った。

 家族のLINE(ライン)グループには前夜「頑張って」のメッセージがあった。この夏も、そして来年も晴れ舞台でまだまだ暴れるつもりだ。 (松井 いつき)

 ◆鈴木 佳祐(すずき・けいすけ)2000年(平12)8月26日、岩手県生まれの16歳。小2から末崎野球スポーツ少年団で野球を始める。小6時に楽天ジュニアに所属。秀光中教校時代に全国大会優勝。1年秋から背番号「5」でベンチ入り。家族は両親と兄、妹。1メートル65、63キロ。右投げ左打ち。

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2017年8月13日のニュース