左手首骨折も…前橋育英・飯島 鉄人弾「右手で押し込んだ」

[ 2017年8月10日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権第2日・1回戦   前橋育英12―5山梨学院 ( 2017年8月9日    甲子園 )

<山梨学院・前橋育英>7回、左中間にソロ本塁打を放ち、ガッツポーズを決める前橋育英・飯島
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 痛みをこらえ、こん身の力でフルスイングした。11―5とリードして迎えた7回無死。左手首尺骨骨折を押して強行出場した前橋育英(群馬)の4番・飯島主将は、右手一本で左中間へ高校通算17本目となるソロアーチを架けた。

 「痛がる場面じゃない。左手が使えないので、何とか右手で押し込んだ」。初回と3回にも適時打を放って3安打3打点。途中出場が多かった群馬大会では打率・300も打点なし。「迷惑をかけてばかりだったが、貢献できてうれしい」と安どした。

 5月の春季関東大会、浦和学院との準々決勝で左手首に死球を受けて骨折した。いつまでたっても骨がくっつかず「野球は駄目」と言われるので病院通いをやめた。前日、2週間ぶりに軽い打撃練習を行ったが、痛みで緩い球を約10球打っただけ。不安がよぎる中、荒井直樹監督から「おまえの存在が必要だから明日も頼む」と声を掛けられ「主将としてグラウンドに立たないと」と決断した。

 患部には緩衝材とテーピングを施し、保護材も巻いた。打席では左手と右手を指2本分離してスイング。「手を離して打つと、右手が返りやすくなって痛みが軽減されると教えられた」。いすゞ自動車で活躍した指揮官が腱しょう炎の際に考えた打法だが、「飯島は“骨折はケガじゃない”というタイプ。僕はあの方法で打てなかったが、あいつは打つから凄い」と称えた。

 初出場初優勝を飾った13年以来の夏1勝を挙げ、次戦は明徳義塾と激突。「次も試合で打てるように心の準備をしたい」。手負いの主将は、2度目の頂点へ闘志を高めた。 (原田 真奈子)

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2017年8月10日のニュース