父も監督で甲子園出場…波佐見・得永監督 悲願の夏1勝ならず

[ 2017年8月9日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権第1日・1回戦   波佐見5―6彦根東 ( 2017年8月8日    甲子園 )

<彦根東・波佐見>選手に声をかける波佐見・得永監督(右)
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 砂ぼこりが上がった本塁上のクロスプレー。田中豊久球審の両手が大きく横に広がった瞬間、波佐見(長崎)の得永健監督は天を仰いだ。

 「勝てるゲームだった。隅田の代え時を6、7回から考えていたが迷った。私の責任、そして力不足」

 21年ぶりの勝利に手が届きかけていた9回に先発・隅田が同点に追いつかれ、なお2死二塁のピンチで村川竜に継投。四球で一、二塁となり、4番岩本に右前に運ばれた。

 サヨナラ打を浴びた村川竜は「隅田が粘っていたので“あとは任せろ”と思ったが…。自信のある直球が甘く入った」とうつむいた。一方の隅田は「最後の踏ん張りが利かなくて悔しい。自分が投げきれば勝てた試合」と唇をかんだ。

 3度のリードを守り切れず、逆転サヨナラ負け。指揮官は「精神面の弱さを叱られるでしょう。(仏前で)正座で話を聞かないと」と話した。父・祥男(享年60)さんは佐世保工と波佐見を指揮し、甲子園春夏通算6勝。長男である自身は父が監督の下で波佐見で主将としてプレー。95年からは波佐見監督の父の下でコーチとなり、96、01年に夏の甲子園に出場した。父の死後、03年から監督を継承。厳格だった父は部員に「先生」と呼ばれた一方で、人情味あふれる息子は「健さん」と呼ばれる。そして、今夏に監督として自身初の甲子園出場を決めた。

 父子そろっての夏の甲子園での勝利はお預けとなり、「勝たせてあげたかったな」。最後まで悔やまれる夏となった。

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