亀井“ルース伝説”草薙で「サイクル超え」 自己最多5安打6打点

[ 2017年8月2日 07:51 ]

セ・リーグ   巨人10―3ヤクルト ( 2017年8月1日    静岡 )

9回1死三塁、亀井はこの日5安打目となる適時打を打つ
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 巨人の亀井善行外野手(35)が1日、ヤクルト戦で5回に勝ち越しの3号3ランを放った。三塁打が出れば、サイクル安打となった残り2打席は4号ソロに適時二塁打。快挙達成とはならなかったが、いずれもプロ入り最多の5安打6打点を記録した。チームも今季94試合目で初の2桁となる10得点。連勝を4に伸ばし、3位・DeNAに3・5ゲームに詰め寄った。

 83年前、ベーブ・ルースも立った左打席に亀井は向かった。ベンチでは「サイクル安打狙え」と声を掛けられたが、冷静だった。

 「足が遅いので(三塁打は)ないなと思っていた。僕は欲がないので、逆に無理してケガしてもいけないし」。5―2の7回1死一塁。サイクル安打へ残すは三塁打だったが、右越えに4号2ランを放った。同点の5回には勝ち越しの右越え3号3ラン。「サイクル超え」の2打席連続本塁打で試合を決めた。

 打撃の神様が乗り移ったようだった。1934年に日米野球でベーブ・ルースがプレーした静岡・草薙球場。球場の入り口には巨人のエース沢村栄治とルースが対戦する銅像がある。9回には右翼線適時二塁打。「一、二塁間を走っている時に(三塁打は)諦めた」と笑ったが、5安打6打点は13年目で自身最多。「たまにはそういうこともあっていいのかなと思います」と喜んだ。

 ルースは病気の少年のために本塁打を約束して打ったと言われる。亀井も昨年12月、闘病中の子供と家族のための滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウスせたがや」を訪問した。主催試合で巨人の選手が打った本塁打1本につき1万円などの寄付を贈呈。「本塁打を打って貢献できることを知り、もっともっと打たないといけない」と約束した。2年ぶり8度目のマルチ本塁打で施設の子供たちに笑顔を届けた。

 11年7月5日。同球場で同じヤクルト戦に三塁で先発したが、初回に失策を犯して交代。「静岡にいい思い出はなかった」という自身の「呪い」を振り払い、チームの暗い数字も振り払った。今季最多18安打で、今季初の2桁10点得点。94試合目での2桁得点は球団史上最も遅い。高橋監督は「そういう(積極的な)攻撃ができた。走者がたまったところでの本塁打は一番ありがたい」と称えた。

 4連勝で、3位DeNAには3・5ゲーム差に迫った。「一試合一試合勝ちにこだわっていきたい。自分のやるべきことをやる」。静岡で過去20打数3安打だった男は神懸かっていた。 (神田 佑)

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2017年8月2日のニュース